「4880分の1」 レスポール・デラックス・GT(前編)

70年代前半のゴールド塗装は粒の大きなブロンズ・フレークが美しく、魔法がかけられたようなキラキラした輝きがオーナーのみならず見る人を魅了します。

1973年には、10,484本のレスポール・デラックスがカラマズー工場から出荷されました。ゴールドトップが4,914本(含Lefty:34本)、チェリーサンバーストが4,554本(含Lefty:25本)、そしてタバコサンバーストが610本(含Lefty:2本)です。他にはわずかですが、チェリーが227本、With HBPUが179本生産されたと記録されています。

シリアルナンバー「133776」の本個体はミント状態を保ったコレクターズコンディションです。初夏の日差しに眩いばかりの閃光を放つ、美しいゴールドフレークを纏った逸品を細部にわたって見ていきましょう。 

70年代のレスポール・デラックスは、初期にカラマズー工場で生産され、その後1975年にナッシュビル・ファクトリーが竣工すると順次移行されます。そして「ナッシュビル・チューン・オー・マチック・ブリッジ」や「メイプルネック」の搭載により、徐々にその姿を変化させていきます。

丸いクローズド・オーのヘッドロゴはこの時期の特徴でもありますが、並行して角ばったロゴも採用されています。

ヘッドのロゴは、ギターの生産ラインとは関係なく、事前に突き板に埋め込まれた状態で供給され、パーツ部門が管理しています。同年代で両方のロゴが並行していますが、部品供給手順の作業標準書では部品番号が分かれていますので、「混在」というのはマーケットに出荷されて以降の表現になります。

シリアルナンバーが8桁になると、下3桁でカラマズー工場とナッシュビル工場の生産を区別できますが、70年代はコレクター泣かせですね。

ウオータースライド・デカール・シリアルのマホガニーネックもありますから、組み合わせは次の通り8種類あります。

70年代前半のゴールド塗装は粒の大きなブロンズ・フレークが美しく、魔法がかけられたようなキラキラした輝きは、オーナーのみならず見る人を魅了します。ほとんど弾かれた形跡のないミント・コンディションの本機でも、肘のあたる部分にうっすらと経年変化がみられますので、ヴィンテージの個体保管の難しさを考えさせられますね。

70年代前後になると、レスポールのボディはパンケーキ・ボディと称される「①マホガニー+②メイプル材+③マホガニー+④メイプルトップ」構成が登場します。後期は③のマホガニーが1Pではないという暴挙(笑)も散見されますが、この個体は美しい1Pが採用されています。

以前ご紹介したレッド・スパークル・デラックスは3Pでしたね。

フィンガーボードはローズウッドが美しい木目を見せ、この時期特有のフレークが濃いディッシュ・インレイを引き立てています。

ネックはひと目で3Pとわかる木取りです。反りにくい構造なので、50年経過した現在でも、ロッドを触った形跡がありません。何度見てもすばらしいコンディションを保っています。

では、細部を順番に見ていきましょう。

ヒビも割れもないオリジナル・成型ピックガード
スクリューはネック側とボディ側の長さが違うのがオリジナル
フルサイズに交換されがちなミニHBは貴重
70年代前半特有の「茶色くて丸い」キャパシター
流麗なカーブを描くボリュート これによってヘッド付け根の強度が飛躍的にアップした
フタコブのクルーソンはオリジナルだが、フラットトップにヘソがない
BWBの3PロッドカバーにDeluxeの彫り文字 白のレイヤーはすでに薄くなっている

いたるところに50年経過したヴィンテージとしての風格をみせつつ、あたかも新品で店頭にかざられているようなミントコンディションを保つ逸品に出会えるのも、オーナーコレクターの愛情によるところですね。

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