追憶のギャラリー
「Vintage Guitar Magazine」を1988年から愛読している。俺は2年ほどサウスカロライナに住んで東京に帰国したんだけど、毎月届くこの雑誌の広告欄とかギャラリーとか、楽しみでしかたなかった。
目次
Vintage Guitar Magazine
「Vintage Guitar Magazine」を1988年から愛読している。AlanとCleo(Greenwood)が1986年に創刊した、タブロイド(新聞判型)業界紙だ。ナッシュビルのギターショーに、彼らが小さな折り畳みテーブルのブースを出していて、出展者とにこやかに談話しながら、時折「定期購読しないか」と、来場者に声をかけていたのがきっかけさ。
俺は、そのギターショーで手に入れたばかりのモダーンを、古びたBobby Leeで肩からぶら下げて会場を歩いていた。持ち込みの個人からケース無しで買ったんだが、当時のヴィンテージギターショーには、適当な新品ハードケースだけとか、ギグバッグを売っているヤツなんて居ないから、まあ、ただ持て余してぶらぶらしていたんだ。俺以外にも、そんな感じの若者は何人も来ていたし、上半身ハダカみないなTatooじいちゃんもいたから、取り立ててヘンテコな風合いとは、自分では思っていなかったよ。でも、Cleoネエサンの目には「相当ファンキーな東洋人(後の本人の弁)」と映ったそうだ。
で、声をかけてくれて、ひとしきり日本のギター市場の話で盛り上がり、最後に定期購読を申し込むことにした。申込用紙には、もちろん自分の住所を書くわけだ。
To: Taddy Mitsui
1251-15 Mathis rd
Greenwood S.C. 29649
「おいおいTaddy、そこには俺の名前じゃなくて、お前の住所を書くんだよ」って言われても、これが俺の住所なんだから(笑) もらった名刺をみると、このご夫婦の苗字は、確かに同じ「Greenwood」だ。まあ、だからって何か運命的な出会いとか、そんなんじゃないけれど、モダーンぶら下げてたから「コリーナトリオ自慢」とか、「他愛ないネジネタと蘊蓄」をひけらかしてたのさ。嫌な顔もせずに、「今度、リーダースギャラリーのコーナー作るから、写真送ってくれよな」って誘ってくれて。俺の下手な英語、うざかったろうに、一生懸命耳を傾けてくれた。良い連中だよ、ほんと。
で、俺はおれで、律儀だからさ。ちゃんと送ったわけだ、独身寮のテニスコートで撮影したコリーナトリオの写真を。やる気がないのに、成り行きで「オーケー、オーケー」って言っちゃ駄目さ。だろ? 約束したら、守るぜ。
Vintage Guitar Magazineは、ブームもあって、しばらくしてページ数が随分と増えた。判も大きくなってカラーになった。それでも、まだまだ手作り新聞って感じがいいんだ。
判が大きくなってから、こんな横並びのコレクション(一番下のHofner)だって掲載できちゃうしね。
俺は2年ほどサウスカロライナに住んで東京に帰国したんだけど、毎月届くこの雑誌の広告欄とかギャラリーとか、楽しみでしかたなかった。匂いっていうのかな、プンプンするんだよ、ギターが好きだぜっていうAlanのパッションが。
とか言ってるうちに、10年ぐらいして、またバージョンアップ。ホッチキス留めが、ちゃんと雑誌っぽくなってきた。
でも、サイズがでかいんだよ。カバンからはみ出るから、会社に持って行って便所で隠れて読むって、できないぜ。
現行はA4に近いサイズだ。ひとまわりコンパクトになったから持ち歩きやすいね。ギターと比べても、比べなくても、まあまあ良い感じのサイズさ。
俺が好きなコーナーを紹介するよ。読者のギャラリー。流石にGibsonやFender、MartinやGuildを生み出した国だけあって、すそ野が広いわなあ。まずは、やっぱご縁のコリーナトリオから見ようか。
一番上のレスポールじゃないよ、下のコリーナを見てくれ。ちゃんと、いるんだよなあ、三本そろえてなんぼ…みたいなファンが。シンパシーを感じるね。勢いあまって、こんな写真…
…も掲載されてるから、俺だって負けちゃいないさ。
Vintage Maniacsのファンが送ってくれるギャラリーフォトも、毎回感激してるんだぜ。メッセージにも「オーナーのヒストリー」っていうのか、「当時、誰のどんな言葉に影響されて、どんなギターを集めてるか」とか、詰まってるよね。
Vintage Maniacs Gallery - 「もだかわ」さんのモダーン家族
お、これは以前にも紹介したモダーンだ。「30年を経て、いまだパッション冷めやらぬ」なんて書いてくれて、うれしいじゃん。モダーン・オーナーズ・クラブ結成は、俺のBucket Listにちゃんと入ってるんだぜ。
このギャラリーコーナー、毎回じっくり見ていると、案外知り合いが出てるんだ。これこれ、このモダーンレプリカ。
知る人ぞ知るってかんじのMr. Cohn Rude。「このレプリカは、買ったときオリジナルのVケースに入ってました」ってさ。ケースのほうが高いんじゃないのかい? まあ、いいけど。いつか、押しかけて無理買いするって、決めてるんだ。それまで手放すんじゃないぜ、Cohnさん。
このカットは、あぶねえな。
猫ってのは、飼い主の大事なものって良く知ってて悪さするっていうからさ。「しぇ~」とか言って、ソファから飛び降りて、335とスペシャルを倒して。あとは、何ページか紹介しておくから、自分の好きな写真を見つけてみてくれ。BC Richとかも、ちゃんと載ってるからねえ。
VMによる後記
今回は、随分と荒っぽい言葉遣いで失礼いたしました。アメリカンな雰囲気を醸し出してみましたが、楽しんでいただけましたでしょうか。FVさんご本人は、「俺」とか「オレ」とかあまり言いません。ご安心ください(笑) まあ、英語だと、「わたくし」でも「オレ」でも「小生」でも「手前」でも、「I=アイ」なので、翻訳って難しいですよね。最後に、私が感じたことをひとつ。いつもは賑やかなVintage Guitar Magazineの表紙ですが、EVH追悼特集の時はリスペクトが表れていて、「ああ、真摯っていうのは、こういうことか」って思わされましたね。
最後に、当時のVintage Guitar Magazineの写真を2枚。一枚は、「新聞に直接宛名シールを貼って発送」の証拠写真(笑)
今では、ちゃんとビニールに入って宛名カード同封の上で送られてきますよ。
そして、もう一枚は、当時やり取りしていた、Cleo直筆の封筒です。
FVさんって、ほんと何でもかんでも捨てずに持ってますよねえ。余談ですが、あのCohnさんのモダーンは、これです。
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