70年代の迷走 - SGスタンダード

ギブソンのSGシリーズには多種多様なモデルがあり、亜種もたくさん存在します。不思議なパーツや謎のスペック変更など、不可解な仕様のギターを多数世に送り出してきたギブソン・ギターの中から、今回は迷走する70年代のSGスタンダードをご紹介します。

投票用記事番号:8103

謎のプラスチックパーツ

VM(Vintage Maniacs)のっけからマニアックなSGが出ましたね。

FV(Fukazawa Vintage Club)お、写真だけで気がつくとは、観察力が増したね。

VMまあ、長年一緒にやってますからねえ。やっぱり、見るところを見るようになりますよ(笑)

FV70年代のSGシリーズは、シングルピックガードになってから「SG Deluxe」や「SG Pro」、「SG-Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ」やら、沢山の亜種が登場するから、ギブソンのアフター部門やディーラーにとっては、パーツの管理が随分悩み多かったと思うよ。

VMテールピースの下にある、この「黒いまん丸パーツ」は何ですかね。

FVそういえば色は違うけど、同じ時代の「Les Paul Standard 71」モデルにも、ピックアップまわりやスタッドボルト周辺にプラスチックパーツがついてるのを見かけるね。

VM工場で塗装がチップしちゃったのを隠すためなんでしょ?

FV多分ね。でも、当時のギブソンの良心的品質管理の観点だと、塗装がチップしたら隠さずに「SECOND」になってもおかしくない。

VM70年代のパーツブックを探しても、この部品って掲載されてないんですよ。失くしたらアウトです。

FVそう言わずに、自分で削り出して作れば良いんじゃないか?

なぜか変更されたピックアップの位置

VM最初の写真に戻りましょう。こういう並んだ写真だと、気になっちゃいますね。

FVだろ? さっきの「黒いまん丸パーツ」じゃないけれど、パーツとしての汎用性が無いよな。

VMえーっと、みなさんは気づいているかと思いますが…。

FVピックガードだね。というか、リアピックアップの位置。左のSGのピックガードは、右のSGには取り付け不可能だ。

VMこうして比較すると、ちょっと問題ですね、このピックアップ位置の違いは。

FVギタリストはSGスタンダードの「ストップテールピースか、ビグスビー付きか」を迷うわけだから、それ以外のスペックは合わせてくれないとね。それなのに、リアピックアップの位置がこんなに違ってちゃあ…。

VM左のビグスビー付きモデルのほうが、リアPUがブリッジに近いからトレブリーですよね。

FV困ったもんだよ。ショップの親父も「なんで違うの?」って客に聞かれたら説明できないだろ。

VMABR-1取り付け用のポスト穴を使ってワイドトラベルブリッジを載せたらピックアップに近すぎたので、次のロットからはPUをちょっと離してみた…って、安易な対応だと思いますよ。

FV随分知ったかぶりをするようになったね。

VM例えばこの時期のSGスタンダードって、フィンガーボードがローズでバインディング付きのブロックポジションがあるじゃないですか、後期の。それに合わせてピックアップ位置を変更するなら、なんとなく「あーそうなんだ」って感じですけど。

シリアルナンバーをチェック

FV2本のシリアルを比べてみよう。左が「177537」、右が「134395」だ。あれ? 右のSGが先に製造されたのか。

VMこの時代のシリアルは適当ですから、そうとも限りませんけどね。ただ「GIBSON」刻印のW.Germany Schallerは、かなり短い期間しか採用されませんでしたから、この2本は相当近い時期の製造ですよ。

FVますます不可解だな。とにかく、あーだこーだと考えても理不尽なスペックなんだよ。

VMその比較のためだけに買ったんですか、右のSGは?

FVエボニー指板って、なんとなくメロウなやわらかいサウンドで好きなんだよね。フライングVでも80年代に出てたよ。

チェリーレッドの塗料が色褪せる原因?

VM毎回思うんですけど、70年代初期のチェリーって、ハードケースに入れて保管していても色が飛びますよね。

FV明らかに塗料の不具合だと思う。フィラーのメーカーが何か変えたんだろう。購買部門が発注番号を間違えたりはしないと思うから、メーカーが勝手に仕様変更して知らん顔してたんじゃないか。

VMご自身の経験ですね。サプライヤーの「ダマテン・スペック変更」で何度も痛い目にあってますよね。

FVまあね。例えば研磨剤に使う「パミス」っていう火山灰があるんだけど、昔は「阿蘇山のふもと」のがすごく高品質だった。ピカールの原料というか、そのものだね。だけど、あまりにも採掘しすぎて、深いところのはザラザラで使い物にならない。仕方なく80年代後半からはイタリアから輸入してたんだよ。

VM読者の皆さんはあんまり興味ないかと思いますが、一応FVさんの蘊蓄なんで我慢してください。

FVまあ、そんな感じでサプライヤーが原料のスペックを変えるのは、悪意がなくてもちゃんと知らせてくれないとね(笑)

70年代サウンドにかかせないセラミックコンデンサ

FVこないだ「よっちゃん(MusiMagicの吉原さん)」が、セラミックコンデンサの古めのが高騰してて、うっかりしてると在庫が無い…って言ってたね。

VM死活問題ですよ、マニアにとっては。70年代って、このペラペラのコンデンサ独特のヌケが良いサウンドってありますよね。

FV現行モデルのレスポールやSGを、このタイプに交換すると、結構70年代っぽい音になる。

VMバンブルビーとかのオイル系とは違う、独特の味があります。

FV買いためておいたほうがいいかな?

VM…って、もう買ってるじゃないですか。僕にも分けてくださいよ。

FV迷走する70年代。だからこそ飽きないんだなあ。

VMそんな事いってるからギブソンが調子に乗るんですよ。タールバックのハムバッカーを再生産するように、お願いしておいてくださいね。

FV無理無理(笑)

 次に読むなら

SG解体新書 - とんでもない品質の“やっちゃったギブソン”
1970年代前半はSGをはじめとするギブソンのソリッドボディ・ギターの生産数量が増大した一方で“とんでもない品質”のギターが存在します。今回はそんな“やっちゃったギブソン”のうちの1本を紹介する「SG解体新書」です。
Vintage Maniacs Fair

投票用記事番号は 8103 です

掲載されている文章および画像の無断転載・引用(ソーシャルボタンは除く)は固くお断わりいたします。

 Vintage Maniacs Shopのおすすめアイテム

Vintage Maniacs Magazine Vol. 1

Vintage Maniacsのブログに著者コメントを追記し、編集・再構成した「Vintage Maniacs Magazine」。全ページフルカラー仕様で、資料としてもオススメです。Vintage Maniacsが切り込むディープでマニアックなヴィンテージギターの世界をお楽しみください。

ショップで見る
Vintage Maniacs 公式Webショップ