SG Standard解体新書 Part Ⅱ - 前編
「解体新書」の続編となる今回は、Gibson SGのピックアップキャビティに注目。3本のSGスタンダードのパーツを外して、それぞれのキャビティ加工の違いに迫ります。また汎用性が高くてすばらしいスペックのピックガードにも注目。3回シリーズの前編です。
目次
3本のSGスタンダード
VM (Vintage Maniacs)前回の解体新書は、すごい反響でした。
FV (Fukazawa Vintage Club)ネックジョイント部分を分解して注視する機会って、なかなかないからね。
VMワイドピックガードのSGって、ジュニアもスペシャルもスタンダードもカスタムも、全部「3PU用ザグリ」で、スカスカなイメージを持っていました。でも、こうしてクローズアップで見ると、随分とタイトですよね。
FVそだね。このSGでみると、エレベーションスクリューが入る部分も最低限の加工になっているし、手がかかっているよ。
VMで、SG Standardが3本ならんでいますが、今日のポイントは?
FVどこが違うか、わかる?
VMえ~っと、ヘッドストックを見ると、クラウンインレイの形状が一番右と真ん中で全然違いますね。
FVおお、よく見てるね。クラウンインレイに関しては、形と位置で複数パターンあるから、あらためて特集するとして…。
VMあ、わかりました。ピックガードの厚みというか、白いレイヤーの太さが違います。
FVおおおおお、そこもよく見てるね。60~70年代のギブソンは、5プライのピックガードが何種類もあるので、年代の古い順番を認識しておくのは大切なポイントだ。遠目に見ても直観的に違いがわかるよね。
VMその「直観的」って、すごく大切ですよね。遠目に見て「あれ?」とか「え?」って感じる「モノの違い」って、クローズアップして凝視すると必ず理由がありますから。で、今日はピックガードのお話ですね?
FV違うよ(笑) 今回は「解体新書」の続編として、ピックガードを外さないと解らない「キャビティ」のお話。
VMそんなのずるいっすよ~。
【スペックチェック】3PUキャビティ仕様(1本目)
FVじゃあ、まず一番年式が古そうなのから見ていこう。
VMロゴがオープンオーですね。60年代後期っぽい。ボリュートもないし。
VMネックジョイントがノッペリと長いですね。ここは、むしろ70年代っぽいですが。
FVピックガードの一番下のブラックのレイヤーがすごく薄い。白のレイヤーは、下のほうが分厚いよね。
VMピックアップキャビティは、カスタムと共通の3PU仕様になってます。これって、60年代ですか?
FVねえ、どうなんだろう。スペックがぐちゃぐちゃだよね(笑)
FVポットデイトがハンダで読めない…。でもまあ、ギターショーに3本展示してあったら、好きずきで言えば、オープンオーのロゴで、私はこれを買うだろうな。
VM音出しもせずにギターを買うFVさんらしい、参考にならないコメントですね。
FVABR-1はクロームメッキでPatナンバーのDJマーク入り。コンディションいいね。
FVせっかくだから、もうちょっと他の部分もクローズアップで見てみようか。ニッケルの錆び方がかっこいいねえ。
FV僕がこの時代のギブソンが好きな理由のひとつに、インレイ素材のパターンがある。ほら、50年代とも違うし、70年代後期とも違うだろ? これは復刻されてなくて、なかなかリペアするときに苦労するんだよ。
FVカルボナーラ・ディッシュマーカーは、探し回ってやっと見つけたんだけど、レアだよ。ヒスコレのファイヤーバードⅤは、このタイプでチューンナップすると、ぐっとリアルになる。
VM宣伝ですね?(笑) そういえば、当時のデッドストックのセルロイドシート、持ってますよね。
FV今度、紹介する予定。
VM他に特筆すべきポイントはありますか?
FVそうだね、ヴァイブローラ・アームの止め方。よく「六角ネジで裏から止める」って思われてるけれど、まあ、こんな感じなんですよ。
VMこりゃヒドイ。雑ですね。しかも、樹脂のワッシャーが緩くなったら締められないですよ。
FVGibsonは反省すべき点だったな、当時。しかもプラスネジ。
FVこのネジは、頭の部分がプラスもマイナスもあるから、自分のギターを見て「マイナスとちゃうぞ~」って、びっくりしなくても良いよ。
VMびっくりしましたよ(笑)
汎用性の高いピックガード
FVギブソンのSGで、すばらしいと思うのは、ピックガードのスペックだね。
FV80年代初期のワイドピックガードが、ネジ穴の位置も含めて、ドンピシャで搭載できるんだよ。
VMほんとだ。びっくり。フライングVとかは、なかなか共通スペックじゃないので、4プライのヴィンテージタイプを探すのに苦労しますけど、SGは汎用性が高いっすね。
FV今回のVintage Maniacsは、結構役に立つ。
VM普段は「役に立たない」って、自覚してるってことですか?(笑)
FV……。
VMキャビティの解体新書から随分脱線してピックガードの話になりましたが、総括すると、60年代後期から70年代初期のSG Standardは、ピックガードも随分と仕様が変化するということで。
FVいや、まだ続くんだけど。
VMピックガードに関していえば、レイヤーの相違点とブリッジポストの穴の径に注目しておく事ですね。
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