サイドウェイ・ヴァイブローラにみる、ウルトラマニアックな連中

VM（Vintage Maniacs）ポール・マッカートニーの特集ですか？そういえば、Fukazawa Vintage Clubさんは有楽町のホテルまでギターを届けに行きましたよね。

FV（Fukazawa Vintage Club）あの時はブライアンにSGを持って行っただけで、ポールには会わなかったよ。で、今回の特集だけど、ヴァイオリンベースが写っているからポールの来日公演のイメージもあるね。でもハズレ。

VMうーん、サイドウェイ・ヴァイブローラの特集かな？

FVまあそうなんだけど、どちらかというとその「サイドウェイ・トレモロユニットのリペア用パーツを作っているウルトラマニアックな奴」がアメリカにいるって話。

VM何を言ってるのか見当がつきませんが…

FVそもそも、SGスタンダードでサイドウェイを搭載した個体が何本ぐらいあったのかわかる？

VM3,111本ぐらいかなあ。

FVカンニングするなよ（笑）まあ、61年と62年でスタンダードが3,000本ぐらい作られているね。中にはエボニーブロック搭載モデルもあるけど、おおよそ3,000本としよう。

VMサイドウェイ・ヴァイブローラの数もそんなところですかね、大体。

FVで、君ならこの世に3,000個しか存在しない部品の交換パーツを、60年経った今、わざわざ企画・製造して市場に出そうと思う？

VM『MojoAxe』がアメリカでやってますよ。

FVよく勉強してるじゃないか（笑）このMojoAxeという連中が曲者で、とにかくマニアックなんだよ。

VMMojoってもともとVooDooの呪術とかで、ブルースの歌詞では「魔法」とか「麻薬」という意味で使われますよ。だから「魔法のツール」みたいなブランド名ですね。

FV今回は、ギブソンが復刻したサイドウェイ搭載SGのトレモロユニットを分解してみたから、アプローチの違いを観察してみよう。

VM結構真剣に復刻していますね。外観はオリジナルとそっくりだ。

FVしっかりと復刻しながら、構造的には難所を克服している。

VMなるほど、構造を見ると随分とスリムな骨組みで台座が無いですね。

FVヴィンテージのサイドウェイ・トレモロユニットは、カシメというかネジ切り部分が弱くて、使っている間にいずれは亀裂が入って割れてしまうんだな。

VM直しようがないですね。溶接してもすぐに割れそうだし。

FVで、MojoAxeが出しているパーツ。これだとブロックがしっかりしているから、割れにくいしアームも効きそうだろ？

FVギターに搭載した画像がこれ。

VMいかにも頑丈そうですけど見た目が厳つい。あ、カバーすれば見えないか。

FVヴィンテージのサイドウェイ・ユニットを分解すると、概ね3台に1台はなんらかのヒビや亀裂が入っていて、壊れるのは時間の問題。だからこんな手間ひまかけてパーツを作ろうって思ったんだろうね。

VMでもそうなると、このユニットを実用しているギタリストがいるってことですよね。

FVあまり見たことがないんだけど、アメリカでは需要があるんだろうね。ギブソンが復刻するぐらいだし。まあせっかくギブソンの復刻SGを買ったので細かく見ておこうか。

VMヒスコレかと思ったらレギュラーモデルなんですね。

VMペグはクルーソンっぽいスクリュータイプ。これ、すごく壊れやすいペグですよ。

FVネックジョイントはヒスコレっぽくて好感度が高い。キャビティのザグリも手を抜いた感が無くてGood Jobだよ。

FVなぜかキャパシタが70年代のような、ちんまいセラミック。チープだが音は好きだ。

VMどの角度から見ても、スムーズなトレモロ効果とは縁のないルックス…

FVそれだけに、このユニットの復刻を果たしたギブソンに敬意を表するとともに、もうちょっと順番としてやって欲しいことが沢山ありますと言っておきたい。

VM最後はレフティのヴァイオリンベースとツーショットで。

VMカバー外すと見てられませんね(笑)

FVシェキナベイベー！

文・写真：FUKAZAWA VINTAGE CLUB

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