やみくろES-335 - シュリンク・ペグボタンとロッドカバー

ミクロのディテールに迫る「やみくろ」の第2回も前回に続きES-335特集。初期と後期で変化するGibsonロゴや、ペグの「へそ」、そして経年劣化で崩壊する悪名高き「シュリンク・ペグボタン」まで、普段なかなか見られない写真とともにご紹介します。

ヘッドストックのGibsonロゴとペグの「へそ」

Gibsonのロゴが燦然と輝くヘッドストック。飴色に変色したラッカー、クラック、縮むペグ。ヴィンテージ・ギブソンの象徴とも言える50年代ファクターがぎっしりと詰まった部分です。

50年代の終わりになると、ロゴの「o」の内側の抜きが大きめです。

これはマスキングの個体差ではなくてロゴ自体の形が違うので、50年代初期と比較し、よく観察してみてください。

ペグの天面はフラットで「へそ」があります。

この特徴はVintage Maniacsの記事「クルーソン・ペグを年代別に分析 - ヴィンテージ・ギブソン編」でご覧いただきましたが、ここまでクローズアップすると特長がわかりやすいでしょう。

悪名高き「シュリンクボタン」

この当時のKluson Single Lineは、悪名高き「シュリンクボタン」でオーナー泣かせ。必ず経年とともに粉々になります。

こうなると粉々でほとんど修復は不可能ですね。飴色が徐々にどす黒くなって、最後は濁った土色に変色し、この頃から割れ始めます。

80年代前後(20年経過)だと、バーストのツマミもまだまだ飴色でしたが、2000年(40年経過)に入ると濁った色に変色し割れてきます。2010年以降(50年経過)は、どす黒くなり、多くのオーナーが、ペグを取り外して保管し対処せざるを得なくなっています。

私も、このES-335にはツマミをレプリカに交換したヴィンテージ・クルーソンを搭載して、オリジナルのペグは別保管です。飴色だったツマミがどす黒くなり、パラパラと崩壊し始めたときは、絶望感で1週間ほど「呆然」としていました。写真で見るだけでも十分に悲しいでしょう?

とりあえずはこんな状態で一息つけているわけですが…実用上も問題ないので、すこし心がやすらかになりました。

手の込んだトラスロッドカバー

ロッドカバーは奥が深いので別の機会に詳細を観察するとして、ここではヘッドに搭載されている画像から伝わるヴィンテージっぽさをご堪能ください。

ロッドカバーがないと随分殺風景ですが、ここに「ベルシェイプ」をデザインできるギブソンのセンスに敬意を払いたいと思います。

しかも、2Pといえども削り出しで、随分と手の込んだパーツですね。

60年代に入ると、同じ2プライの削り出しでも黒のレイヤーのエッジが平べったく薄くなりますから大きな変化です。

パーツから感じる「センスと時間」

ヘッドストックやインレイ、パーツのひとつひとつに、当時の趣味人が捧げた「センスと時間」を感じながら、ヴィンテージという単語に思いを馳せるのでした。

最後はハカランダのクローズアップをご覧ください。

 次に読むなら

クルーソン・ペグを年代別に分析 - ヴィンテージ・ギブソン編
ヴィンテージのクルーソン・ペグはシュリンクと呼ばれる樹脂素材の劣化が特徴です。ツマミの経年変化に注目し、分解もしつつスペックの変遷をご紹介します。

掲載されている文章および画像の無断転載・引用(ソーシャルボタンは除く)は固くお断わりいたします。

 Vintage Maniacs Shopのおすすめアイテム

目指したのはPAFっぽい音ではなくPAFそのままの音

Vintage Maniacsが知見を結集しプロデュースする、ヴィンテージ・レプリカ・ハムバッカー「Hysteric PAF」。伝説のPAFサウンドをあなたへ!

ショップで見る
Vintage Maniacs 公式Webショップ