ABR-1のサドルを交換してサウンド比較 - フラットヘッドとシャープヘッド
Vintage Maniacsが復刻したフラットヘッド・ブラスサドルを載せたABR-65をギブソンのヒスコレ・フライングVに搭載してサウンドインプレッション。サドルが音に与える影響についてHajime Yoshinoの試奏で比較します。
目次
Vintage Maniacsが復刻したフラットヘッド・ブラスサドル
世界初の復刻となった「フラットヘッド・ブラスサドル搭載ABR-65」は、クラプトンのサイケSGやアンディ・パウエルのフライングV、ジョニー・ウインターのファイヤーバードが奏でる比類なきメロディアス・ロック・サウンドを再現する、ヒスコレファン必携のブリッジです。今回は、ヒストリックコレクションの67 Flying Vに搭載して、シャープサドルとのサウンド比較を、吉野一さんの試奏でお届けいたします。アンプは、ビル・カラハムの名機「Callaham」、初公開のオーバードライブ「Soul Drive」をフィーチャーしました。
アンプの名機「Callaham」と初公開のオーバードライブ「Soul Drive」
FV(Fukazawa Vintage Club)お久しぶりです。前回のHystericPAFサウンドインプレッションから少し時間が経ちましたが、今日もよろしくお願いいたします。変形ギターを含めて、ギブソンがどっさりあるからね。
HY(Hajime Yoshino)うへ~、なんか80年代のアメリカンロックっぽいラインナップだなあ。
FVまあ、Vintage Maniacsなんで、自然とこうなるんだよね。お付き合いください。
HYアンプはカラハムを持ってきた。懐かしいでしょ。ギブソン系は、だいぶご無沙汰してるから楽しみだなあ。
FV前回のアンプはCarrだったよね。カラハムは佐久間さん(佐久間正英氏)が気に入ってた時期があって、GLAYのレコーディングでHISASHIさんが頻繁に使ってたね。ハムバッカーとの相性も結構いいよ。
HYFVさんがエフェクターって、めずらしい。相当気に入ってるの?
FVいやあ、惚れ込んでますよ。この20年でベストの一つかな。まあ、体験してみて。
HY歪み系でしょ?
FV機会をみて詳しく説明するけど、このコンパクトサイズで、しっかりと「KLON Centaur」のいいところを全部再現してるのに、オリジナル性があってぶっ飛ぶよ。
シャープヘッドとフラットヘッドのサウンド比較
FVでは、フライングVからいきましょうか。
HYなんで?
FVとりあえずABR-65のアピールも兼ねて(笑) 「世界初の復刻」ってことで、Vintage Maniacs自信作のフラットヘッド・ブラスサドルを、大好きなヒスコレVで体験していただこうと。
HYへええ、わざわざブリッジ作ったの?
FVいや、サドル。ブラスサドルだよ。トップがフラット。今までなかったでしょ?
HYああ、60年代を復刻したのね。あれ、音違うもんね。ソリッドボディに搭載するなら、復刻ABR-1のシャープヘッド・サドルはキンキーだから、SGやFB、FVのヒスコレオーナーは、マニアックに60年代のサドルに交換している人いるよね。欲しかったギタリストやマニア、多いんじゃない?
FVサドルはね、ギターパーツのなかで、唯一「どの音程でも、常に同じ部分が弦に触れているパーツ」だから、音への影響は多大だよ。
HYなんでギブソンは復刻しないのかね。
FV商品企画やってる人、ヴィンテージギターを弾く機会が少ないのかも。
HYABR-1のサドルは、Vintage Maniacsのブログ(ABR-1用フラットヘッド・ブラスサドルの復刻 )で、細かく解説してたでしょ? じっくり見ると、弦とサドルトップの接地面が決定的に違うよね。
シャープヘッド・サドル搭載Gibson ABR-1
FVとりあえず、標準のサドル(シャープヘッド)を搭載したGibson ABR-1から弾いてみよう。
HYさすがヒスコレ。サウンド全体的には良い感じ。でも、気のせいかな、30分くらい弾いてると耳がつかれるかな…。
FV良し悪しではなくて好き嫌いなんだけどね、これって。ヒスコレのSGやFBでも同じ感覚が残る。エド(Wilson)も言ってたけど、耳に痛いんだよね、長時間になればなるほど。
HYレスポールだと、トレブリーでキンキーな中にも、しっかりとミドルが乗ってくるから心地よいけれど、ソリッドボディにシャープヘッドのブラスサドルって、指にうねるようなバイブレーションがこないのかな。
FVシャープヘッドの場合は弦とサドルが「点」で接しているからね。
HYあ、そうか。フラットヘッドは接点が広いってことだな。
フラットヘッド・サドル搭載Vintage Maniacs ABR-65
FVじゃあ、ABR-65に交換してみようよ。
HYビブラートをかけたときとか気持ちいいね。あと、5フレットあたりのコードワークがむちゃくちゃ気持ちいいよ。一つ一つのサウンドがメロディアスだ。
FVでしょ。ブリッジのサドルは、常に弦振動を支えているからね。形状や素材によって大きく違いがでるさ。良し悪しよりも、「心地よい音」を求めると、60年代になっちゃう。その要(かなめ)が、世界初復刻のフラットヘッド・ブラスサドルだと思うのよ。
HYコードワークやカッティングでも、60年代のノスタルジックで暖かいニュアンスが指から伝わるね。
FVピッキングしている右手、感触が良くない?
HYあ、そう、それ。すごく「グリってやっても、グキってならないで、ピキって跳ね返りじゃなくて、ヌプって吸い込んでから押し返してくる」ような、微妙に気持ち良いタイムラグがあるね。
FVう~ん、ちょっとAVの擬音みたいだけど、言わんとしてることは良くわかる(笑) 右手で感じるサウンドってのもあるよね。
FV随分長時間弾いてるけど、どう? 弾き比べると違うでしょ?
HYうーん、驚いた。ABR-65は、しっくりくる感覚がヴィンテージっぽいし、音の終わりの伸びがすごい。何時間でも弾けるね、飽きないよ。右手に静電気で音がまとわりつくような、ピックから伝わる振動も、いままで気にしたことがなかったのを反省するぐらい、違う。
FVそう言っていただけると嬉しい。4年越しの企画だったけど、なんとか実現できた。60年代の一番美味しいサウンドを多くのヒスコレや現行モデルのオーナーに体験して欲しい。
HYあと、このヒスコレV、むちゃくちゃバイブレーションがあって、ヴィンテージフィールがある。よく見るとボディのマホガニーが一枚板だね。
FVやっぱり67はワンピースでなくちゃ。今度このフライングVを徹底分析しようかな。
HY最後は宣伝っぽくなるけど、ABR-65は必携だね、ヒスコレオーナーのみなさま。
- 今回の試奏で使用したABR-65を無料でレンタル いたします。サドルのスリットは、09~42です。
- 復刻にあたりご尽力いただきました御徒町のAさん、本当に辛抱強くご対応いただき、ありがとうございました!
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キンキーでトレブリーなレスポール・サウンドと双璧を成す、甘くメロディアスでマッタリした60年代サウンドは、この「フラットヘッド」なくして語れません。お手持ちのヒストリックコレクションSG・FB・FVや、レギュラーモデルのABR-1を、ぜひリプレイスしてみてください。60'sへのタイムトリップの扉が開くはずです。
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