GibsonのスケールとES-350 (後編)

ギブソンのスケールに注目した前編に続く今回は、ES-350Tのパーツ/スペックを細かく見ていきます。当時の雑誌に掲載された価格を参考に、バードランドやES-175との関係も考えてみます。

ES-350Tとバードランドの関係

VM (Vintage Maniacs)前編を読んでいると、ギブソンのスケールって随分と適当な表記なんだなあ…って、思いました。

FV (Fukazawa Vintage Club)だろ? 実際にカタログに「24-3/4インチ」って書いてあるのに、自分のSGを測ってみて「24-9/16インチ」だったら、「これ、変ですよね?」ってなるわな。

VMその通りですね。で、ES-350Tなんですけど、どういったポジションだったんですか?

FV価格から見てみようか。

VMうわ、これ古い雑誌のページですよね。昭和の時代には、こうしたメーカーカタログの寄せ集め的な「ギター年鑑」とか銘打った雑誌が沢山刊行されていたようですが…。

FVそうだよ。便利なので、よく買ってた(笑)

VMこれを見ると、そもそもが、ES-350Tって廉価版バードランドという受け止め方でいいですか?

FVスケールも発売当時は同じだし、カタログで並んで掲出されているのだから、ラインナップ的というか、シリーズ的な受け止め方で良いんじゃない? いうなれば「バードランド・スタンダード」ってね。

VMあれ? ES-295が325ドルなのに、350Tが425ドルって高くないですか?

FVあ、ほんとだ。

FV70年代の復刻版はどうだろう。

VMうわ、高いですねえ。175よりも200ドル近く高いです。日本市場でも175より高いっす。

FVバードランドは一気に破格のプライスタグが付いているから、ES-350Tをバードランドの弟分とかラインナップやシリーズと呼ぶのは、よく考えるとちょっと無理があるな。

VMでも、テールピースを見ると、復刻版は50年代のバードランドと同じようなタイプになってます。

FVえっ? 気づかなかった。っていうか、関心がなかったんだけど、よく見つけたね。

VM毎回ちゃんと予習してきてますから(笑)

FV復刻版が、これで…

FVオリジナルのバードランドがこれ。

FVオリジナルのES-350Tのブリッジはどうだったんだ?

VMとりあえず細部を見ておきましょうよ。

FVうーん、すっきりしないなあ…。

VMテールピースは175とかと同じで、裏側が弦を引っ掛けやすくできてます。

ピックアップ、ブリッジ、PUカバー、ノブ

VMピックアップは、FVさんが大好きな刻印のTトップですかね。

VMこの頃になると、さすがにピックアップリングも、脚の無いM-8です。

FV随分とヴィンテージっぽさが抜けてきた印象だ。ブリッジだってナッシュビル・チューン・オー・マチックだしね。

VMこのギター、ブリッジがW.Germanyじゃないですよ。FVさん、交換しました?

FVえ、記憶にないなあ。購入した1988年には、まだドイツは西と東に分かれてたから、時代的にはGermanyはおかしい感じがする。へんな指摘しないでくれよ、まったく(笑)

VMこの頃のゴールドメッキの剥げ方、独特ですよね。後年の復刻パーツとかで再現できてないから、なくすと大変です。

FVそれはポイントだね。レスポール・カスタムの60年代後期や70年代初期は、当時の流行からかピックアップカバーを外している個体があるけれど、カバーだけを探すとなかなか出てこない。

VMノブは交換してますよね。

FV「8」が末広がりになっていない、まさしくGibson純正なんだけど、たしかゴールドトップから取り外してつけた記憶があるなあ。でも、サウスカロライナに住んでた頃だよ、交換したのは。

ヘッドストック、ネック、Fホール内側のラベル

VMネックはメイプルで、ヘッドのインレイはクラウン1個のシンプルさがカッコいいです。

FVFホール内側の「UNION MADE」ラベル。アップで見る機会少ないでしょ?

VMテールピースは、ちゃんと「ES-350T」という刻印になってますね。ギザギザ文字が、ロングヴァイブローラのカバーみたいです。

FV兎にも角にも、50年代の人気モデルをそのまま復刻せずに、あらたにチューンナップして登場させたあたりは、企画部隊のコダワリなんだろうけど、実用性と手軽さで、ビジネス的には成功したモデルらしいよ。

VMフィンガーボードのインレイも高級な白蝶貝ですから、なにがしかとオーナーには嬉しいんじゃないでしょうか。

FVサンキュー!(笑)

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