俺スキ - Gibson The SGというか「保証書」の巻 - その1

今回の俺スキはGibson The SGの「保証書」に注目。急激な円高を背景に、日本ギブソンの正規代理店が並行輸入品対策に苦労する当時を振り返りながら、The SGに付属した2枚のワランティカードをご紹介します。

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「The SG」と「Firebrand」

VM(Vintage Maniacs)あいかわらずSGの特集が多いですね。

FV(Fukazawa Vintage Club)今回はギターというよりも保証書の話なんだけどね。

VMノーリン時代のワランティカードって、そんなに珍しくないと思うんですけど、なんでわざわざ「俺スキ」なんですか?

FVVintage Maniacsのブログをいつも読んでくださっている「Mr. Takao」さんから貴重な写真をいただいたので、今まであまり気にしてなかったことを紹介したいと思ってさ。

VM「The SG」って「Firebrand」とごっちゃになるんですよね。

FVFirebrandってのは、ヘッドのGibsonロゴがGretschのGマークみたく「焼鏝(やきごて)」になっててカウボーイっぽいんだよ。マホガニーだし。The SG DeluxeやStandardというのが、カタログ掲載のモデル名みたいだね。

VMGibsonロゴがデカールになっているThe SGモデルとは違うんですか?

FV「The SG」は「The Paul」と同時期に登場したWalnutボディ・ネックのちょっとオシャレなギターだ。その後、マホガニーになって焼鏝ロゴになった記憶があるから、Firebrandがそれだろう。同時に発売してたかもしれんが。

並行輸入品への対策に苦労する正規代理店

VMこの個体は日本ギブソンの「剥がれないし塗装を痛める」シールが残っていてコンディションが良いです。

VM 「Authorized Instrument NIHON GIBSON」って書いてありますね。このシールって、剥がした後をちゃんとベンジンで拭わないとベタベタしたままになります。いらんことしますね、当時の日本代理店は…。

FVまあ、保証書や正規輸入品のシールって、当時はいろんな高級品の代理店が並行輸入対策として苦労した表われなんだよ。よかれと思ってやったことだ。君の年齢だと実感わかないかもしれないがね。

VMどうして並行輸入対策が必要だったんですか?

FV当時は急激に円高になってね。1975年に300円前後だったドルレートが、突然1978年に152円になった。一気に2倍だ。これまで300円を前提に日本の標準小売価格を設定していた代理店はビックリしたんだよ。

VMアメリカで750ドルのSGだと、単純に換算しても750×300=22万5千円です。

FVそれが2~3年で750×152=11万4千円になったんだから、みんなあたふたした。消費者だって「俺が3年前に22万円で買ったギターが、なんで11万円なんだよ!」って怒るわな。だから正規の代理店は急速な値下げはやりにくかった。

VMまあ怒っても仕方ないんですけど、気持ちはわからんでもないっす。

FV正規代理店が値下げしきれずにいる間に、どんどん日本の市場価格と本国の市場価格に開きが出たように見えてしまった。

VMそうなると、小売店でも「日本ギブソンから仕入れないで、アメリカから自分で輸入して店頭販売したほうが儲かるぞ」ってなります。

FVそうだ。そしていろんなブランド嗜好品で「並行輸入」という言葉がさかんに使われるようになったんだよ。

VM正規代理店では、自分のところで輸入したギター以外の保証とかリペアは、どう扱っていたんですか?

FV代理店の気持ちとしては、「うちを通してないギブソンは面倒みません」ぐらい言わないと差が出ないわな。一方で並行輸入品のシリアルナンバーから、北米の販売ルートを割り出して、米国本社に「意見」したことを日本の公取から指導されたりね。

VMいまの「国際通販ポチ」の時代から考えると石器時代ですね、イメージとしては。

FVいやあ、輸入代理店はそれなりに広告うったりカタログ作ったり、品質検査やってアフターパーツを揃えたりと、営業部隊抱えて大変だったと思うよ。

「俺スキ」ポイント、2枚の保証書

VMそんなこんなで、めでたくこの「The SG Walnut」は日本にやってくるわけですね。

FV当時の付属品が揃ってると嬉しいよなあ。

VM「保証書」が2枚ありますけど、本国版と日本版ですか?

FVそうそう、それが今回の「俺スキ」のポイントなんだけど。

VMまた、ちまちまと書類とか付属品の自慢になりそうですから、まずギターを紹介してください。読者の方々も忙しいと思うので。

FVそう言われると辛いなあ…じゃあ、次回はギターから見ていくか。

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