Vintage Kluson Deluxeペグのアーカイヴス
Vintage Maniacsに掲載したクルーソン関連の記事を振り返りつつ、新しく撮影したクローズアップ画像を加え、アーカイヴスとしてお届けします。過去の記事も参考にしながら、レストレーションの楽しみが共有できればと願っております。
Vintage Maniacsでシュリンクルーソン(縮む樹脂ボタンを復刻したペグ)を企画してから、50年代のKluson Deluxeペグに関するご質問を多くいただくようになりました。70年代にGrover社が精度の高いロートマチック機構のチューニングマシンを発表して以降、多くのヴィンテージ・ギターのペグが交換されてきましたので、近年は「オリジナルのルックスに戻したい」と考えるオーナーも増えているのでしょう。そのニーズに応えるべく、Kluson社からは近年精度の高い復刻版が発売されていますので、これまで掲載した記事を振り返りながら、新しく撮影したクローズアップを加えて、アーカイヴスで整理しておきましょう。
Klusonペグを最初に取り上げた記事は、2015年の「クルーソン・ペグを年代別に分析 - ヴィンテージ・ギブソン編」が初回になります。経年劣化する樹脂ボタンや軸との境目に発生する緑のサビ、刻印されたPATナンバーなどを、細かく紹介しています。50年代のKluson Single Line ニッケルには、縮んで劣化し崩壊するボタンのタイプと、そうでないタイプがあることにも言及しています。
クルーソン・ペグを年代別に分析 - ヴィンテージ・ギブソン編
2015.5.3
2019年の「やみくろES-335 - シュリンク・ペグボタンとロッドカバー」では、崩壊したオリジナルペグと交換したシュリンクルーソンを比較しながら、ヘッドストックのルックスについて取り上げました。
やみくろES-335 - シュリンク・ペグボタンとロッドカバー
2019.3.8
オーナーの方々はすでにお気付きの通り、縮む樹脂ボタンは、割れた後も劣化は進み、ブラウンっぽい半透明感のあるカラーから、徐々にクレイ(粘土)のような不透明な光沢のない質感に変化します。
オリジナルがオリジナルっぽくなくて、復刻版のほうがリアルな、不思議な状況です。
シュリンクとノンシュリンクの比較をし、めずらしい画像を掲載した「シュリンク・クルーソン・ペグのカスタマイズ」も、ぜひ参考にしてみてください。
シュリンク・クルーソン・ペグのカスタマイズ
2019.5.17
ボタンがシュリンクすると全体のサイズが小さくなるので、シャフトとリングエンドの間隔も広くなってきます。忠実に再現すると、むしろ見た感覚では「シャフトが長いな…」と思いますね。
ゴールドのシングルラインにも、シュリンクボタンとそうでないボタンがあります。比較的保存状態のよい50年代のノンシュリンク・ボタンを見てみましょう。
一方で60年代初期に搭載されている、ダブルリングのシングルラインにも、シュリンクタイプとノンシュリンクタイプが混在しています。
ダブルリングのシングルライン・ニッケルは大変レアで貴重なので、6個のうち1個だけシュリンクした!!という1960バーストオーナーにとっては泣き所でしょう。というか、ヴィンテージ・クルーソン・ペグの中で、一番貴重なモデルかもしれません。単体でもめったに市場に出ない「ツチノコ」みたいな存在。
このゴールド・シングルラインは、デリカシーのないボタンに交換されていたので、今回はVintage Maniacsの58クリームタイプに付け替えてみました。いかがでしょう。ぐっとヴィンテージっぽくレストアできていますね。
シュリンク・ボタンを取り換えたセットです。これなら安心してヴィンテージに搭載して使えますね。オリジナルのボタンが経年劣化で崩壊して粉々になってしまうまえに、リプレイスして大事に保管しておきたいですね。それぞれ、A~Cまで3セットのレストア後をご覧いただいています。
50年代クルーソンのシュリンクボタン・レストアは、オーナーにとって避けては通れないハードルですが、ルックスと実用性を兼ね備えた良いリプレイスメント・パーツも出ていますので、好みのボタンを選びながら、あれこれと付け替えてみるのも楽しみですね。
ノーラインでも一部「シュリンクボタン」の個体がありましたので、レストアしてみました。
クルーソンのシュリンク・ボタン、いかがでしたでしょうか。過去の記事も参考にしながら、レストレーションの楽しみが共有できればと願っております。最後になりますが、ずっと探し続けて、コンプリートできない筆者の「ゴールド・シングルライン・ノンシュリンクボタン」をご紹介しましょう。
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