GibsonのABR-1を時期ごとに比較

ギブソンがABR-1ブリッジをノンワイヤーで復刻したのは画期的でした。ヴィンテージから現行まで、いろいろな仕様が存在するこのパーツを深くチェックしてきます。

GibsonがヒスコレのABR-1をノンワイヤーで復刻したのは、エポックメイキングでした。当時は、弦切れの際にサドル・スクリューの脱落を防ぐ目的でワイアーが付加されたのはGood Ideaだったにも関わらず、ヴィンテージ復刻の観点からデチューン(改悪)するところにマニアの真髄があります。今回は、復刻したGibsonのノンワイアーABR-1と、ヴィンテージABR-1前期・後期、そして、Patナンバー入りとなった時代の個体をみながら、全体の特長をチェックしていきます。

テールピースと異なり、ABR-1は金型の段階で概ね完成形に近い印象を持っています。サドルの入る溝は、メッキのノリの厚みによって、若干の誤差があるため、スクリューが入り辛かったり、落ちやすかったりします。

メッキの上からでも、金型の凹凸やざらつきが視認できます。

同時期のABR-1を比較してみましょう。一番下は、60年代のSGLPに搭載されている、バイブローラ対応のABR-1です。チューニングが安定するよう、丁寧なグラインダー作業が施されています。下から二番目が59年レスポールに搭載されているABR-1、その上は60年カスタムに搭載されているABR-1です。左右のポスト穴周辺のバフ仕上げは個体差があり、見た目の印象が異なります。初期は加工が丁寧です。一番上は、クロームメッキに移行したABR-1で、Patナンバー移行前の63年前後のタイプでレアです。

60年代初期には、ABR-1と並行して、Patナンバーが付加されたバージョンが登場します。底面印字部分が抜き型になっているので、本体のシェイプは概ね踏襲しています。この時期は、Pat Number Versionにも、ABR-1 Versionにも、ニッケルとクロームが見られる過渡期になります。ニッケルメッキの錆び方は特徴的で、下地処理が不完全ゆえ、浮いてきているのが判ります。

左が復刻のNon wire ABR-1、その隣は、ワイアーの復刻ABR-1で、形状は似ていますが、Non wireは、ヴィンテージに忠実に“中華マーク”も再現されていますが、金型加工が甘く、文字の輪郭が垂れているのが解ります。

ヒスコレで見事にノンワイアーABR-1を復刻したギブソンには、ぜひユーザーフレンドリーの観点から「予備のスクリューとサドルを、1個ずつ」標準付属品としていただきたい限りです。

最後に、当時Gibsonの特約楽器店でパーツとして販売されたABR-1のパッケージを見てみましょう。

当時は、丁寧にインストラクションやスクリュードライバーも同梱されていたのですね

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