トラスロッドカバーで比較するヴィンテージとヒスコレの違い
今回はトラスロッドカバーのシェイプについて、ヴィンテージとヒスコレを比較していきます。ヒスコレの穴位置はヴィンテージにくらべて若干上にあがっていますね。さらにホワイトのテーパー部分のスラントも、ヴィンテージでは斜めに落ちているのに対し、ヒスコレでは膨らむようにラウンドしています。
2000年のヒストリック・コレクションに搭載されているトラスロッドカバーは、ネジが扁平頭である点を除けば、かなり良い感じの復刻になっていました。
スラントするホワイトのエッジ部分などにこだわりがみられ、このスペックのパーツが20ドル前後で購入できるのは嬉しい限りです。ただ写真で見るとブラックのプラスチック部分は、素材の性質上ピカピカのフラット(鏡面)になっており、後年マニアの間でとり上げられる「ロールマーク」は出ていません。
今回はギブソンのトラスロッドカバーのシェイプについて、ヴィンテージとヒスコレを比較しながらチェックしていきましょう。次の画像は左からヒスコレ2000年、ヴィンテージ63年、ヴィンテージ59年です。下側のネジ穴周辺のラインを見ると、ヒスコレ2000年はスリムにカットされています。アウトライン全体も心持ちスリムに見えますね。
次の写真では下側のネジ穴周辺を比較しています。一番下がヒスコレ、59年、63年、一番上が61年です。ヴィンテージは、それぞれネジ穴が微妙に右にずれているのが判ります。
ヒスコレの穴位置はヴィンテージにくらべて若干上にあがっていますね。さらにホワイトのテーパー部分のスラントも、ヴィンテージでは斜めに落ちているのに対し、ヒスコレでは膨らむようにラウンドしています。
上側のネジ穴も同じくヴィンテージはすべて右にずれています。一番下のヒスコレは行儀良くセンターです。工業製品を生産する場合、NCルーターのセットアップをわざわざセンターオフでずらすというのも気持ち悪いもので、勇気がないとこの「へんてこ」なヴィンテージ・スペックは再現できないのでしょう。
さて、ひとえにレスポールのトラスロッドカバーといっても、年代別にみると「Les Paul」の文字が刻まれたモデルはいくつかあります。今回は筆者のコレクションから、すこし抜粋してみましょう。まずは60年代のLPSGにみられる2プライのLes Paul文字入りです。
65年に限定で復刻されたクラウンインレイのゴールドトップに搭載されていた、60年代3プライのLes Paul刻印です。センターのホワイトプライが厚いのが特徴です。
68~71年頃のレスポール・カスタムに搭載されていた3プライで、センターのホワイトプライが薄いのが特徴です。
70年代前後に登場する複雑な構造のギター「Les Paul Recording」
ほぼ同時期に短期間登場する「Les Paul Bass」
刻印ではなく印刷となる復刻版「Les Paul Recording」(70年代後期~80年代)
近年のスタンダードモデルで一部に搭載されたスリムな文字のタイプ。同時期のヒスコレには2プライで丁寧な刻印バージョンが登場します。
最後になりますが「Les Paul」の文字はなくとも、レスポール・ファンにとってエポックメイキングな登場で印象深い、80年代初期の「Heritage Series Standard-80」のロッドカバーです。
近年では良質なスイス製のレプリカなどが登場しているので、追って詳細を特集したいと思います。
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