GibsonのABR-1ブリッジを深掘り - Foundry Markって?
Gibson ABR-1の裏側には「DJ」とも読める刻印がある個体が存在します。もともとの目的はわかりませんが、北米コレクターの間では俗に「Foundry Mark」と呼ばれていて、おそらく金型の鋳造メーカーか鋳造所のマークのようです。
GibsonのABR-1を時期ごとに比較では年代別のABR-1にクローズアップしましたが、その時の写真で「おやっ?」と思われた方のために、Foundry MarkのPat.ナンバーブリッジを深掘りしてみます。
上の写真の上から3番目を見てください。右隅に「DJ」とも読める刻印がありますね。下の3つのABR-1には中華マークに似た刻印があります。もともとの目的はわかりませんが、北米コレクターの間では俗に「Foundry Mark」と呼ばれていて、おそらく金型の鋳造メーカーか鋳造所のマークのようです。
初期の65年頃~75年頃まではDJマークあり。後年80年代の59 Vintageなどに搭載されているモデルはDJマーク無しです。それぞれにニッケル、クローム、ゴールドがあります。
まずはDJマークありのニッケル、クローム、ゴールドのABR-1です。
ニッケルは非常にめずらしく、最終年のシングルガードSGに搭載されていました。ニッケルパーツとクロームパーツが混在した個体です。ロングヴァイブローラはクロームでした。
次にワイドピックガードのSGなどに見られるクローム仕様。これは74年のレスポール・デラックスに搭載されていたものです。
最後は、67 SGカスタムに搭載されていたゴールドのDJマーク付き。ヴィンテージファンにとっては、一般的に見慣れた個体だと思います。
次はDJマーク無しのニッケル、クローム、ゴールドです。
何を隠そうこの中で一番レアなのはニッケルのDJマーク無しなんです。長年ABR-1を集めている中でも、ニッケルのDJマーク無しは59 VintageやStandard 82、レオズやノーマンなど至極限られたモデルでしか見られません。まあABR-1を集めてどうするんだ?って意見もありますが、ギターショーで見つけたら手を出さずにいられないというか…神木の根っこでオオクワガタを見つけた感覚ですね。
フライングVなども、おおむねクロームなのです。
さらにめずらしいのがゴールドでしょう。これはオレンジボックスに入ったウッドブリッジに載っていたデッドストックです。この時代になぜ箱がオレンジボックスなのかわかりませんが、ES-175などでブリッジをなくすユーザー向けに、余っている箱で出荷していたのでしょう。
次の写真は、それぞれDJマーク有り・無しをならべたものです。
普段何気なく「Pat.ナンバーのABR-1」と言っていても、よく見ると60年代後期のSGにDJマーク無しが載っていたり、リプレイスされているなんてことも私の経験ではちょくちょくありました。
ABR-1は、ある意味サドルもスクリューも消耗品で、ブリッジ本体も長年の弦の負荷から撓んでいるものもあり、交換される頻度が高い部品です。ひとつずつ丁寧に考察してみると、年代別に変化するギブソンの歴史が身近に感じられますね。
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