EBは奥が深すぎて…の後編
前後編に分けてお届けするEBシリーズの後編。時代に呼応すべくマイナーチェンジを繰り返したギブソン社屈指のエレクトリックベースを、当時の雑誌広告やカタログを見ながらおさらいします。「The Bangles」のベーシスト、マイケル・スティールさんにも注目!
VM (Vintage Maniacs)どーも、ご無沙汰です。言われた通り、ベース持ってきましたよ。
FV (Fukazawa Vintage Club)パーツが無いじゃないか。
VMほら、もう忘れてる。前回、「解体新書だ~」とか言って分解撮影したまま、スタジオから僕が持って帰ったじゃないですか。
FVそうだね、持って帰ったよね。
VMそして、「ケースあけたら、パーツ入ってませんけど」って、連絡して。
FV出版社のあるあるだな。ちゃんと、ここに届いているよ。
VM前編をみていると、EBシリーズは、なんか「ぜんぶSGボディなのに、ラインナップの広がりに統一感が無い」って印象を持ちました。
FVそうだね。汎用パーツが少なくて、モデル毎になんかゴテゴテしたスペックに仕上げているからだろう。
VMだからですね。EBシリーズって、パーツ紛失すると、大変なのが良く分かります。
FVスイッチプレートひとつ取っても、アフターパーツが無いと、作る羽目になる。
EBのドレスアップというか、ちまちまレストア
2023.7.21
FVところで、このEB-0は、ダントツにコンディションがいいなあ。
VM扉絵のGuildは、どういうポジションですか?
FVあ、あれね。本当は「Guild JS-BASS」を掲載するはずが、撮影するページを間違っちゃって。
VMちゃんと撮影しなおしてくださいよ、もう。読者の方、わかんないですよ、これじゃあ。
FVわかった、わかった。マガジンで発行するときには、差し替えるよ。
VMデジタルだから、いまでもできるじゃないですか(苦笑)さらっと「Vintage Maniacs Magazine」の宣伝してますよね。
FV脱線ついでに、91年の広告ページで見つけた「タイムスリップしてでも買いたいギター」を、ご紹介しておこう。
VM読者の方々の後悔心が増幅する、メンタルに悪い企画だなあ・・・。698,000円かあ、シーガル。
FVおいおい、よく見なよ。ヒト桁ちがうよ(笑)
VM気づいてますよ、ちゃんと。これだって、凄い値段ですよ。98,000円。
FV98万円かあ。
VM仕返ししないでくださいよ~。
FVこの頃は、一世を風靡した高級ハンドメイドギターが軒並み人気薄になって、とんでもない価格で放出されていたね。
VMそんな中にあって、EBは現実なポジションを維持し、評価も値段も人気も「あがらず・さがらず」という、ジャイアンツの二番バッターみたいな。
FVその例えは、よくわからんけど。となりのバーストの値段が目を惹くね。
VMEBシリーズを、ギブソン社のカタログでおさらいしておきたいんですが。
FVえっと、このあたりからスタートでいいかな?
VMちゃんと、紹介されてるんですね。ワンピックアップがEB-0で2ピックアップがEB-Ⅲ。6弦ベースも、きちんと表記されています。
FVEB-0とかEB-3の数字部が、合点いかないんだよなあ、学生時代から。ファイアーバードとサンダーバードはⅠ・Ⅲ・Ⅴ・Ⅶがギターで、Ⅱ・Ⅳがベースと、偶数・奇数でも分けてあるから、SG/EBも、そうしてくれればよかったのに。
VMSG-Ⅰがジュニア、Ⅲがスペシャル、Ⅴがスタンダード、Ⅶがカスタムですね。となると、EBは、EB-Ⅱがワンピックアップ、EB-Ⅳが2PUってことですか。
FVどう?分かり易くない?
VM確かに、そう思います。どうせなら、EBシリーズにもファイヤーバードやサンダーバードのようなカスタムカラーがあると、ワクワクしますよね。
FV同感!ところで、どの時代からだろう、ピックガードの形状が変わったのは。
VM1974年のカタログでは、ロータリースイッチプレートまで、ピックガードが伸びていますね。
FV神田商会時代の分厚いカタログでは、すでにカットされたピックガードだ。
FVあと、同時期の荒井貿易のパンフも、すでに移行している。
VM個人的には、FVさんはどっちが好きですか?
FVピックガード・シェイプのデザイン的には、こっちかな。
VMフロント・ピックアップの位置が、ネックエンドから随分離れてきましたね。
FVあ、ほんとだ。気にしてなかった。
VM全然、違うじゃないですか。ゼマイティスのデザインとか、ヴィンテージLPのネジとかだと、ミリ単位でチマチマと蘊蓄垂れているわりに、大雑把なところは、思いっきり見過ごしてるんだから。
FV悪い悪い。冗談だよ。ピックアップの位置、ずらすだけで実用性が格段にあがるから、そのあたりは時代のニーズだね。
VM気持ちとして、1PUのベースってすごく思いっきりが良くて好きなんですけど。
FVあ、ジャズベよりもプレべ派ね、君は。
VMFVさんは、プレべ派なのに「山内テツさんに憧れて」、PBにピックアップを増設してましたよね。
FVあ、それで思い出した。「Daisy Jones and the Six」っていうアマゾンプライムのロックバンド連ドラに出てくる機材が時代考証完璧で、スタッフの知識もすばらしいんだけど、この写真見てよ。
VMうわ、これ、PBを改造してるじゃないですか。Jazz Bassのピックアップ増設で、まさに「Tetsuモデル」ですね。
FV劇中に、バンドメンバーが、「あいつ、ガレージでベースいじくってたぜ」っていうセリフがあるくらい、細かいところに拘っている。最初は1PUで、途中から、2PUになるんだよ。製作スタッフに絶対「Faces」のファンがいるんだと、思ったね。
VMすごい感激するディテールですけど、ドラマ見ながら、よく気が付きますよね。
FVついついね、目がいっちゃうよ、楽器に(笑)
VMいかがでしたでしょうか。EBシリーズのお浚いでしたが、時代に呼応すべく、マイナーチェンジを繰り返したギブソン社屈指のエレクトリックベース。今でも現役でラインナップ健在です。僕は、早くフライングVベースを復刻して欲しいっす。
追記
VMあ、この写真、マイケル・スティールさんですね。
FV良く知ってるね。キャピキャピのガールズバンド「The Bangles」にあって、クールな赤毛の長身ベーシスト、「マイケル姉御」だ。EB-Ⅲを抱えている。
VMちょうど、LP Deluxeもいろいろ調べていたので、このカットは、ジョーン・ジェットさんのナチュラルLP Deluxeも映っている、超お宝画像です。
デラックスな奴ら 前編
2024.3.1
デラックスな奴ら 中編
2024.3.8
デラックスな奴ら 後編
2024.3.15
FVそもそも、Michael Steeleさんが、The Runawaysの初期ベーシストだったってのは、知ってる人はしってるけど、知らない人は、知らない事実だからな。
VMFVさんは女性ベーシスト好きですよね。スージー・クワトロさんとか、Jackie Foxさんとか。日本でCherie Currieが大人気だった時でさえ、来日パンフを切り抜いて、Jackie Foxさんだけ集めてたって昔ばなし、聞きましたよ。
FV最近は、ネット上にも昔の貴重な画像が沢山アップされているから、切り抜きを出してきて眺める機会も減ったけど、とにかくマイケル・スティールさんは、EB-Ⅲを使っておられたという事実もあって、親近感を覚える。
VM松本繁さんと、マイケル・スティールさんの共通項が、親近感ですね?
FVいや、それとは違うと思う(笑)
VMじゃあ、最後になりますけれど、The Banglesの「Hazy shade of Winter」を聴きながら、マイケルさんのパンチあるベースラインとレッドヘアーに酔いしれてください。
FVファッションがかっこいいんだよねえ、ロングのコート。
VMマイケルさん、イントロでベース殴りまくってますよ。
FVEBじゃなくて、良かった。ギブソン系だと、ネックが折れそう(笑)
VM「Be with You」も、圧倒的なきゃぴきゃぴ肉食系レディースロッカー(不適切発言です)の真骨頂で、オーディエンスのノリも含めて、最高と思います。
FVのりのりすぎて、きわどいポーズの連続だよ。いま、地上波でオンエアーできないだろ(苦笑)
VMそういえば、FVさんがダラスのギターショーで仲良くなったリッケンバッカーの営業マンから、「遊びにおいで」って、ツアーのパスもらった話は、自慢しなくていいんですか? その時、リッケンのブースにマイケル(スティール)さんと、スザンヌ(ホフス)さんが来てたんですよね? (※リッケンバッカーがスザンヌ・ホフス・モデルを発表した直後)
FVえっと、これだな。マイケルさんは、思った以上にすごくハスキーボイスだったのを覚えている。丁寧で親切な人だった。大人の女性って感じかな。
Vintage Guitar Magazineの特集「EB-6」さすが北米本土には、レアなギブソンが現存していますね。
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