忘れたころにやってくる ハードケース編 - Gibson EB-2

今回はインターネットオークションで入手したEB-2用のハードケースをご紹介。ボディ部分はES-347のケースと同じサイズに見えますが、ネック・ヘッドストック部分の大きさや、使われている金具には随分と違いがあります。

Gibsonベース用のハードケース

ベーシストの方々は、愛器をハードケースで持ち歩くことは、あまりないですね。私も、どちらかといえば厚手のギグバッグ派です。なので、普段は自分の手元にあるベースが、どのケースに収納されるべきなのか、注意深く考えたりしません。

これまでの特集で振り返ると、SGベースは比較的オリジナルケース度が高いです。SGベースはボディシェイプが同じでもスケール違いがあるので、ケースを間違うとネック部分がぶかぶかだったりはあります。気にしませんが(笑)

バイオリンシェイプのEBは特殊すぎてケースとセットの場合が多いですが、他はあまり気にしていませんでした。

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ところが、EB-2はオリジナルだと思っていたケースが全然違うES-335のケースで、ネックが入らなかったり、そもそもが「このベースのハードケース持ってたっけ?」ぐらいの感覚なので、いざ遠方への輸送時に探すとガレージから適切なケースが出てきません。それどころか、入るケースが見当たりません。困ります。

オークションサイトで入手したEB-2用ケース

そんな中、インターネットオークションサイトで手頃な個体を見つけました。

コンディションが良さそうなので、さっそく入手することにしました。前オーナーの気合が入ったバンド名、かっこいいですね。ブルース・ブラザーズのファンだとお見受けしました。画像だけでは、本当にEB-2が入るか、ちょっと不安ですが、説明には「ベース用ですが本体がなくて、合わせる方法がないです。335は入りました」と書かれています。

さて、到着した個体はこんな感じで、ES-347が収納されているセミアコ・ケースよりも、ふたまわり大きい印象です。

白のバンド・ロゴは撮影前に3時間ほどかけてクリーニングしました

ボディ部分は概ね同じ形状・サイズに見えますが、ネックを格納する部分は幅が広くて長いですね。

ESシリーズとEBシリーズのケース比較

さっそくES-347のケースと細かく比較してみましょう。

たしかにネック部分が随分長いです。そして大きなツマミのペグが収まるように、横幅も随分あります。

ヘッド部分の長さは、こんな感じでした。

ESシリーズのハードケースは、当時(1966年)のカタログプライスが次の通りで、SGシリーズと比較して高額です。

ES用 519 Faultless Case 66.00 USD
EB-2用 539 Faultless Case 77.50 USD
SG用 537 Faultless Case 62.00 USD

クローズアップで見ていくと、確かに耐久性にすぐれたパーツが使われています。

下のラッチは、縦×横ともにずいぶん上のラッチより大きい
ロック・キー部分も重厚。ちょっとやそっとでは壊れません
ヒンジに至っては一目瞭然です

そして、見えにくいですが「Gibson」ロゴはESシリーズがゴールド、ソリッドシリーズはシルバーになっています。普段見過ごしがちな部分ですね。

こうして改めて比較してみると、ESシリーズのハードケースには上級グレードならではのパーツが各所に使われており、耐久性ではソリッドボディ用を上回っています。当時の価格でわずか数ドルの差ですが、何年も経過するなかで、その差が歴然としてきますね。

左からEB-2用、ES-347用、ES-175用
左からEB-2用、ES-175用、ES-347用

オリジナル・ハードケース付きのヴィンテージが探しにくくなってきましたが、私はなるべく丁寧にレストアしながら、本体とケースのマッチングを増やしていきたいと考えています。

内側も大変綺麗な状態を保っています
ベロは剥がれていたのでリペアしました
蓋が取れていない優秀な個体
ストッパーテープが切れていると厄介です
指板押さえのアンコも健在

謎といえば、裏側のラッチだけが違う形状でした。

 次に読むなら

ギブソンのブラウン・ファット・ハードケース
今回はES-175やアコースティックギター用のブラウン・ハードケースの紹介です。レスポール・ファンのみならず、ギブソン・マニアなら「ブラウンケース」の一言に胸が躍ることでしょう。

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