レアはレアでも、とびきりレアなSG

なぜ「SG Specialのゴールドパーツ」はレアなのか? カラマズー工場の出荷記録に「Custom Order」としてちゃんと記載されていても、なかなか実機に遭遇する機会がない、ゴールドパーツのSG Specialをご紹介します。

ゴールドパーツのSG Special

80年代の北米ギターショーでは、ゴールドパーツのSG Standardを時々見かけました。ファクトリー・オリジナルの場合もあれば、モディファイの個体もあります。もとよりCustomとStandardはパーツの共通スペックが多く、比較的乗せ換えやすいのですね。チューンナップが好きなコレクターの間では、そんな話題で結構盛り上がった時代です。

ゴールドパーツのスタンダードといえば、Player誌のマニアック・ギターで、岩撫安彦さんが「1965年のレスポール・スタンダード・ゴールドトップ(クラウンインレイ)※1」を紹介したのを記憶している読者もいると思います。シンプルに、「ゴールドトップにゴールドパーツ、カッコいい!」です。

では、SG Specialのゴールドパーツはどうでしょうか。カラマズー工場のシッピングレコード(出荷記録)に「Custom Order」として、ちゃんと記載があるのですが、なかなか実機に遭遇する機会がありません。

レアなゴールドパーツ

順番に見ていきましょう。

まず、なぜ「Specialのゴールドパーツはレア」なのか? です。 

  1. コンペンセイテッド・ブリッジがゴールド
  2. ショートヴァイブローラのショートバージョンがゴールド
    (弦を止めるプレートの左右もショート)

この2つのパーツは、他のギターから外してこようと思っても、実は標準で搭載されているモデルはありません。ジミヘンのフライングVは、レフティのショートヴァイブローラ・ゴールドが装備されていますが、あれもレアですね。

次にP-90ですが、ちゃんとポールピースがゴールドになっています。

標準のP-90には無いスペックですが、ポールピースに関しては、ゴールドのハムバッカーから外して付け替えることも可能ですね。

トグルスイッチのワッシャリングと、インプットジャックのナットも、ちゃんとゴールドになっています。

ゴールドのバレルノブは手に入れたときのままですが、ちょっとデリカシーが無いので、交換したい衝動にかられつつも、このままを維持しています(笑)

このほか細かい部分では、やはり「スクリューもゴールド」です。バックプレートは全てゴールドでしたが、ピックガードは1本だけクロームが混在してました。

エレベーションスクリューはメッキが剥げていますが…

…外してみると、ピックガードの裏側に隠れている部分は、しっかりゴールドが残っています。

春の陽射しのもと、ダークブラウンにゴールドのコンビネーションがウエストコーストの雰囲気を醸し出している。

せっかくピックガードを外したので、キャビティも見ておきましょう。このカットだけで見ると、一瞬「SGMMかな?」と錯覚しそうです。

歴代オーナーが、コントロールノブの違和感を放置してきたということは、このセンスがファクトリーオリジナルなのか…。

ストラップピンだけは、クロームはヘンテコなので、70年代のゴールドにしました。

ブラックのピックアップカバーにゴールドポールピース、そして「Gibson」の浮き文字。レギュラーモデルとしてスペシャルにラインナップされても、すごくカッコいいと思いませんか?

いまだに発見できないゴールドの3連クルーソン

このギターで指摘するとしたら、「オリジナルのクルーソンはゴールドだったのか?」です。

現在は、グローバーのヴィンテージ(なぜか102Gと104Gが混在しています)に交換されていますが、長年探し続けて、いまだに発見できないのが、「Gold Kluson double line 3 in line」なのです。

パーツリストには、Gold PPのP-90は掲載されていません。もちろんGoldの3連クルーソンもありません。だからこそ、これからも「工場を出荷したときの状態であろう」カスタムオーダーのゴールドパーツSG Specialに戻すために、クルーソンを探し続けるのでありました。

追記

へんな部分に接ぎ木が……これって、無くてもいいですよね(笑)

P-90裏側のクローズアップです。

※1:音の本棚で特集しようと思って整理していた、Player誌の「マニアック・ギター」のカラーページ第一弾が、「ゴールドトップ・クラウンインレイ・ゴールドパーツ」でした。こうして見返してみると、本当にレアなスペックですね。このギターは当時オーナーに現物を見せていただいたのですが、ストラップピンの位置が、もともとレギュラーモデルと異なって、付け替えた跡があるのが記憶に残っています。赤い四角で囲った部分のパーツがゴールドです。P-90のポールピース(赤い矢印部分)はニッケルでした。

余談ですが、このコーナーの裏側ページに、懐かしい「関西楽器社」さんの広告を見つけてしまいました。

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時代のはざまにSG Special
Gibson SGは60年代の発売から今日まで、多彩なバリエーションを生み出してきた歴史の生き証人のようなモデルだ。そんなSGシリーズの中から、筆者にとって思い出深い、ハードロック時代のはざまに生きた70年代のSG Specialを紹介したい。

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