【やみクロ】グリーンな日曜日 - 68年のレスポール・カスタム
随所に50年っぽさが遺る68年のレスポール・カスタムにクローズアップ。ボディの「ブラック」の色に注目しつつ、ロッドカバーなどのパーツやGibsonロゴなどの細部を見ていきましょう。
目次
「ブラック」ではなくて「グリーン」
VM (Vintage Maniacs)写真はヴィンテージのレスポール・カスタムですね、60年後半かな?
FV (Fukazawa Vintage Club)さすが。68年のカスタムは、シーナ&ロケッツ・ドンズバでカッコいい。3PUもいいけれど、鮎川さんの大ファンとしては、“やっぱ、2PUやけんね”。
VMおおおお、博多弁が憑依した! でも、なんでタイトルは「グリーン」なんですか? しかも今日は土曜日ですよ。
FVあ、そうか。毎日が日曜日みたいな生活していると、ついつい曜日に拘りがなくて。
VMじゃあ、タイトルは「ブラックな土曜日」にしましょうよ。
FVなんか、土曜日に人に言えないアルバイトしてそうな表現で、感じ悪いな。
VMところで、「ブラック」じゃなくて、あえて「グリーン」とした理由は?
FVそうそう、それね。そんなに深い理由じゃないよ。VM君はこの写真を見て「レスポール・カスタムはブラックです」って言える?
VMうーん、実は僕も以前から感じていたんですけど。太陽光で見ると、黒くないんですよね。
FVだろ? Vintage Maniacsでは、ギター本来のカラーを直観的に感じやすいように、なるべく自然光+屋外で撮影するよう心がけているから、こうした微妙な差がわかりやすい。
VMちょうど、ブラックライトを当てたときの反応みたいな、黄色がかったグリーン系のクロっていうんでしょうか…。
FVモノの色って、なかなか言葉で表現しにくいから、絵の具の番手とかをリファレンスにして言うと伝わりやすいな。
VMあ、なるほど。FVさんは、よく松崎さんにGTZのカラーリングを指示するとき、ホルベインの“キナクリドンマゼンタ”とか、“テラローサ”とか、具体的に指定してましたよね。
FV一番わかりやすいだろ? で、カスタムを油絵具でいえば、個人的には「ペリレングリーン」に「ランプブラック」を1:3で混ぜたようなカラーに見えるんだよ。
VMそうですね、そんなイメージです。よくわからないけど(笑)
FVそれとさ、リフされたこの時期のカスタムって、ブラックライトを当てなくても、太陽光で見たときに塗り直した部分が真っ黒ってことあるだろ? そこの色合わせの難しさ。
VM自動車のボディを塗っている人たちは、日焼けしたボディカラーでも新しいクルマでも、ビシっと色合わせしてて凄いですよ。
FV目が良いんだね。それと、色を混ぜるテクニック。
50年代風のロゴ、ホワイトレイヤーが太いロッドカバー、ワッフルバックのクルーソン
VMでは、せっかくですので、60年代の復刻カスタムにあって一番人気の68年をクローズアップしていきましょう。
FVまずは、なんといっても50年代風のロゴだな。
VM50年代初期~中期とは異なりますが、
VMニュアンスとしては68GTとかと比べても50年っぽいっすね。
FV随所に50年っぽさが遺るから、68年のカスタムとGTは人気あるんだろう。
VMロッドカバーはどうですか?
FV何度かこのコーナーでも紹介しているけれど、真ん中のホワイトのレイヤーが太い、この時期特有のロッドカバーだから、失くすとなかなか手に入らないよ。
FV「Gibsonアコギのロッドカバー - トラスロッドカバーかく語りき 後編 その2」で、レイヤーの説明をしているので参照してみて。
Gibsonアコギのロッドカバー - トラスロッドカバーかく語りき 後編 その2
2019.11.29
VMハミングバードのロッドカバーで、レイヤーの狭いタイプと太いタイプを紹介してましたね。
FV同年代のSG Customにも共通するんだけど、この「ワッフルバック」のクルーソンが無茶苦茶カッコいいんだよな。
FVこの個体はゴールドが綺麗に残っていて、随分とコンディションがいい。
VMシリアルが深いんですよ、この時期は。ここ、塗ると「ブラック」と「グリーン」の差がでちゃいますね……。
FVタッチアップするときには、色合わせは気を付けるといいよ。
パーツ・細部にクローズアップ
VMグリーンの話題にもどりましたけど、ほんと、このアングルでも「ダークグリーン」ですね。
VMこっちの画像でも、ピックアップ・リングのブラックと比較すると、随分とイエローがのったようなカラーリングなのがわかります。
VMこっちのスイッチプレートのブラックとも違うし…。勉強になりました。
FVピックアップ・リングは、50年代と共通の「トールM-69」モデル。同年代のES-175にも搭載されているね。
FVそれと、トグルスイッチ・プレートは「R」が垂れている50年代スペック。
FVワッシャーも、刻みが太い50年代で、ヴィンテージ・テイストがプンプンする。
VMぼくが萌えるアングルは、これですねえ。ピックガードのホワイトレイヤーが太いとか、ゴールドメッキの剥がれ方が60年代っぽいとか。それと、なんといってもフレットと バインディングがオリジナルなのが嬉しいです。「やみクロ」ならではのカットだと思うんですが、いかがでしょう。
FV「いかがでしょう?」って聞かれても、撮影してるの私だから困るなあ。「いいですねえ」って答えるのも謙遜するし。
VM「謙遜するし」って、自分で言わないですよ(笑) あと、テールピースのゴールドも、この時代独特の剥げ方なので、後年の復刻パーツとかでもニュアンスがなかなか出ないっすよ。
FVゴールドメッキについては、現時点(2022年)ではヒスコレも課題が残るね。
VMそれでは最後に、僕とFVさんで「大好きなレスポール・カスタムのアングル」ってことで画像を選びましょうか。
FV私は、これだな。
FVいわゆる、カッタウェイの緩やかなアーチに被さるマルチレイヤーのバインディングが織りなすハーモニーっていうか…
VM僕はこのカットです。
FVまだしゃべってるのに……せっかちだな、相変わらず。
VMこんど、68GTと68CTMの弾き比べしてくださいよ、企画で。
FVディープグリーンなレスポール・カスタム、お楽しみいただけましたでしょうか。
(Special Thanks to Mr.Takegami)
追記
鮎川さんの「レスポールはロックの標準語をしゃべるギターやね」という深い一言に、私たちがこのギターに魅かれるすべてが凝縮されていると思います。
1968年に突然復刻したレスポールのスタンダードとカスタムは、写真の通りカスタムが2ハムバッカー、スタンダードはP-90×2の仕様でした。
Les Paul SGのディスコンから数えて、わずか6年で復刻する「レスポール」のネーミング。
2機種同時の再発売を歓迎しつつ、一方で「ハムバッカーのスタンダード」を期待したファンも少なくなかったかもしれませんね。
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