魔性のトライアングル・ペグ - リペア篇

ベテラン・コレクターの方は、ペグの曲がり修正でシャフトを折ったご経験が何度もあるのではないでしょうか。若かりし頃にはプライヤーで「えいやっ!!ポキッ!?」というアクシデントが、私は何度もありました。

70年代後半に突如としてレスポールやフライングVに搭載されはじめた、西ドイツ(当時)のSchaller社製トライアングルボタン・ペグ。コレクター泣かせのレアなスペックです。Vintage Maniacsではこれまで2回にわたりフライングVのメタル・トライアングル・ペグをご紹介してきました。

一番手前がSchaller M6にトライアングルボタンが搭載されたレアなバージョンで、ドイツ製ですからミリスペックです。

次がGrover 102Nのトライアングルボタンで、インチスペックですから、先のSchallerにはボタンが付きません。 「70年代のフライングVのペグを比較(2015年)」では、レアなバーチカルロゴのペグを含めてご紹介しています。それから7年の時を経て、「魔性のトライアングル・ボタン(2022年)」で、フラワーバックを分解したり、Standard 82に搭載されたGrover 102Nのトライアングルボタンなど、さらに深堀してきました。

これらの時代特有のペグは、長年の使用で摩耗したり、ぶつけてシャフトが折れたり、前オーナーによって外観の異なるモノに交換されていると、中古パーツマーケットでも探すのにひと苦労しますから、日ごろからeBayやReberb、ヤフオクやメルカリに目を光らせておく必要があります。今回筆者は、11年間探し求めていたギブソンロゴの「Schaller トライアングル・フラワーバック」をネットオークションで発見・入手することができました。少しリペアが必要でしたので、その過程をまじえてご紹介します。

該当のアイテムには、「シャフトに曲がり」と出品者のコメントが添えてありました。ベテラン・コレクターの方は、この曲がり修正でシャフトを折ったご経験が何度もあるのではないでしょうか。筆者も若かりし頃にはプライヤーで「えいやっ!!ポキッ!?」というアクシデントが何度もありました。こんにちのようにヴィンテージパーツのマーケットが充実している時代ではないので、途方に暮れるわけです。でも、相変わらず懲りずに諦めません。

さて、順番に見ていきましょう。Gibsonフラワー刻印のある裏蓋は簡単に外せます。

はだかにしてしまうと、戦車みたいな甲冑があらわれます。なんとも不気味というか無骨で、Klusonの上品さと比してメカニックな魅力があります。Made in W.Germanyの刻印が見えますでしょうか。

念のためコメントしておきますと、ドイツは戦後から1990年10月2日まで西と東に別れていました。ですので、統一前のシャーラーにはGermanyではなく、W.Germanyとクレジットされています。パーツの製造時期を推察するのにも役立ちますね。

裏側からシャフトとギアを留めているカッパーっぽい金属のプレートをマイナスドライバーで外します。この時、折れ曲がった部分が短いほうから外すと取れやすいです。取り付けるときは逆で、長いほうから取り付けるようにすると、プレートを傷めずに上手くできます。

シャフトゆがみの修正には、プライヤーなどで力任せにやらず、ゆっくり広い面に圧力がかけられる工具があると便利です。私はアマゾンで12,000円ほどで購入したものを長年愛用しています。どうでしょう、見事に真っ直ぐになりました。 

フライングVオーナーの方々、コレクターのみなさんは、トライアングルボタンのペグには泣かされていると思います。Klusonでさえ、メタル・トライアングルボタンはレアですから、当時のペグをバラ売りで見つけたら即購入ですね。さらにブッシュも独特。スカートの大きなSchaller専用とトップフラットのKlusonでこんなに外観が異なりますから、それこそ、異なるペグやブッシュが取り付けられたヴィンテージ・フライングVやKalamazoo KM(レスポール)を手に入れたら、とにかくパーツ発掘の旅が始まります。

近年は、Klusonが気合いを入れてヴィンテージタイプを復刻しているので、こんなうれしいペグを入手することもできました。

さすがに裏側にPat.ナンバーの刻印はありませんが、表側からのルックスはすごくいい感じで似ていますね。

クルーソンのヴィンテージペグで、もう一つ「マニア泣かせ」なのがポストのてっぺん。フライングVなどに搭載されているメタルボタン・タイプや、フタコブボタンの時代には、この部分のヘソがなくなり、緩やかなアーチを描いています。半端ペグを組み合わせてセットにするときは、搭載してから「うわーー、ヘソがちんちくりん…」とならないように留意しましょうね。 

フラット・ブッシュとスラント・ブッシュ比較 
(カラマズー工場レストオーバーパーツより)
工場で廃棄されかけた90年代のクルーソン

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