SG用ハードケースの四方山話(前編)
ギブソンの歴史の中には廉価なチップボードケースから高級な木製ケースまで、たくさんの種類のハードケースがありますが、今回はSG用に注目。カタログの1ページだけでも10種類あるSG用ハードケースの違いを見ていきましょう。
目次
10種類のSG用ケース
VMメロディーメーカー用ケースは、廉価のチップボードケースにも、長い歴史とギブソン独特の呼称があることを教えていただきました。
FV「教えて…」と言われるとオコガマシイけれど、まあ、そうだね。「Durabilt」はダンボールっぽいチープな素材と壊れやすいハンドル、どれを見ても、ギターを安全に運搬したり保管するには向いていない。
VMこのカタログでみると、「すぐ壊れるチップボードケース」と「しっかりした木製ケース」に、3倍近い価格差がありますから、なかなか手が出ないですよね。
FVそう、チップボードケースの「116」が、21ドル。最高級Faultlessケースの「0537」は80ドルもしている。
VMギターのSG-Ⅰが259ドルですから、ケース3個の値段でギターが買えるってことに…。そういえばギブソンってSG用に沢山ケースを出してますけど、なんでSG Special用とSG-Ⅰ用のDurabiltケースで型番や価格が違うんでしょう。
FVよく見ているね。このページだけでも、SG用ケースが10種類もあるよ。
SG Special | SG-Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ | |
Durabilt | 115…23ドル | 116…21ドル |
Archcraft | 315…35ドル | 316…33ドル |
Oblong | 1155…65ドル | 1255…60ドル |
Shaped | 1114…69ドル | 514…65ドル |
Faultless | 0437…80ドル | 0537…80ドル |
VM全部そろえるの大変ですね。しかし、「115」と「116」の違いって何だろう。
「Durabilt」「Archcraft」「Oblong」「Shaped」「Faultless」の違い
FVMMのDurabiltケースは多いけど、SGは結構SGMM用に押し込んであったりして SG専用のを滅多に見ないから、「115」とか「116」とか、わからないね。
VMえ~、FVさんなら、全種類ちゃんと集めていると思って期待したのに。
FVまあ、そういわずに(笑)
VMそもそも、10種類とまではいかなくても、「Durabilt」「Archcraft」「Oblong」「Shaped」「Faultless」の違いは教えてくださいよ。
FV単語からして、わかりにくいね。まずDurabiltはダンボールっぽい素材で、表も裏もフラットな、MMと同じタイプ。Archcraftはすごくレアだけど、Durabiltと同じ素材で、表面に少しアーチがついている。ショートヴァイブローラ搭載のギター用かな? あとシルバーのシルクスクリーンでGibsonロゴが印刷されていた。
VMOblongって、なんですか?
FV「長方形」っていう意味だよ。「1155」と「1255」の中にはネックポケットの仕切りがあるけど、ボディシェイプ型のクッション落とし込みは無い。写真で見てみよう。
VMじゃあ「Shaped」が一番ポピュラーな、ギターのカッコしたハードケースですね?
FVそして最高級なのが「Faultless case」。完全無敵って感じの単語「Faultless」だけあって、ケースの内側が型抜きしてあって、ギターシェイプとドンピシャだ。
VMってことは、写真の左が「1155」で、右が「0437」ですね。
FVと、いいたいところだけど、右はレスポール用。
VMただでさえこんがらがってるのに、わざわざややこしくしないでくださいよ、まったく(笑)
FV後編では、もうすこし金具やテクスチャーも見ていこう。ちょっとオマケで、FirebirdのFaultless caseだ。ボディシェイプにそった落とし込みがかっこいい。
付録:40年間抱き続けている「謎」
VM補足で、SG用ハードケースの値段と高級感を検証しておきますと、このカタログの表記がわかりやすいと思います。
VMSG Customには、一番高級な「0437 Faultless case 」です。
VMSG Standardが「1114 Faultless plush lined case」 そして、SG Specialが「1155 Oblong plush lined case」と、だんだん安くなっているのがわかりますね。
FVここで、私が40年以上も抱き続けている長年の「謎」をお話ししよう。
VMややこしそうですね、さらに。
FVこれ、「1114」がFaultless caseって書いてあるだろ? でも、Faultlessは、四角い落とし込みの最高級ケースで、SG Custom用の「0437」だ。ここに書くべきSG Standard 用の「1114」は、Faultlessではなくて、SGボディシェイプの「Shaped hard case」 だよね。でなければ、「0437」と同じになるだろ?
VMあ、ほんとだ。毎度関心しますけど、よく細部まで観察していますね。
FVていうか、この当時、自分が1973 SG Standard with Bigsbyを買ったから。ちょっとでも安くしてもらおうと、神戸元町のロッコーマンで中村さん(後のトーラス コーポレーション社長)に、ケース無しにしてもらった。そのあとずっとカタログを見るたびに「買わなかったハードケースのこと」が気になってね。
VMなるほど。今になって尚、タイガーホースですね。
次に読むなら
掲載されている文章および画像の無断転載・引用(ソーシャルボタンは除く)は固くお断わりいたします。
関連する記事
Vintage Maniacs Shopのおすすめアイテム
Vintage Maniacs Magazine Vol. 1
Vintage Maniacsのブログに著者コメントを追記し、編集・再構成した「Vintage Maniacs Magazine」。全ページフルカラー仕様で、資料としてもオススメです。Vintage Maniacsが切り込むディープでマニアックなヴィンテージギターの世界をお楽しみください。
ショップで見る