やみクロ - シングルカッタウェイのメロディーメーカー (後編)

「やみクロ(やみくもクローズアップ)」メロディーメーカーの後編は、ギターとパーツの細部をチェック。ファンが特別視する50年代の個体は、本数は多くないけれど、手頃な価格で見かけたらぜひ手元に置いておきたい1本です。

ゴールドインクのスタンプシリアル

FV前回までの粗筋を言うと、アリゲーターケースと当時のコードチャートを見ながら、ノスタルジーに浸っていたんだけど。

VM今日は「やみクロ」らしく、「普段見えないパーツのクローズアップ」をお願いしますよ。

FVまずはシリアルのスタンプだね。60年代の刻印と違って、この頃はレスポール・ジュニアでも使われているゴールドインクのスタンプシリアルだ。

VMゴールドのスタンプインクにも、経年クラックが入っています。ゴールドトップと同じですね。

FV時代の流れを感じるよ。

VM僕は、メロディーメーカーやSGジュニアのヘッドロゴは、デカールだと思っていました。

FV60年代の後期からはデカールタイプの「Gibson」になるけれど、昔はちゃんとシルクスクリーンなんだよ。

VMほんとだ。ウオータースライドデカールのような透明なフチがありませんね。

メッキの剥がれ方が特徴的なテールピース

FV50年代のメロディーメーカーのパーツで一番好きなのは、ジュニアやスペシャルと共通の、アルミテールピースだ。

VMステアステップになるのは何年ぐらいからですか?

FV正確には特定できないけれど、大体60年代初期、レスポールがSGシェイプになった頃には概ねニッケルのステアステップに移行してるんじゃないか?

VMこの裏側が復刻できないんですよねえ。

FVそうそう。そして、表側のメッキも再現できない部分。復刻品のニッケルはこうした剥がれ方をしてくれないから、レスポールのテールピースも含めてマニア泣かせの部分。ヴィンテージは貴重だよ。

VMなくすと、なかなか手に入らないヴィンテージのイモネジですが、内側はこう「凹んでいます」から、覚えておくといいですね。

ストラップピン、ブッシュ、ピックガード

FVほかに、クローズアップで見ておきたい部分はあるかい?

VMそうですね、前回は搭載された状態でしか見られなかったストラップピンかな。

FV樹脂製のパーツで復刻版がないから、割ったりなくしたりしないように気を付けたい。

VMうはー、スクリューが短いですね。寸足らずな印象です。

FV50年代はペグのブッシュも、ひと回り小さくてコンパクトだから、ヘッドがカッコよく見える。60年代に入ってからの大き目のブッシュと比べると随分ちがうだろ?

VMついつい弦交換のときにポロリと落として失くしたまま気が付かずに、あとで年代違いのをはめ込んだりしてました。50年代のブッシュは、eBayで探しても、なかなか単体で出てないですから気を付けたいですよね。

FVピックガードのネジは50年代のハムバッカーのフロントエスカッションネジと同じ。ネジ山が途中までしか切られていない。

VMボディのザグリとか塗装はすごく丁寧ですよ。ネックエンドとかも。

FVそりゃあ、価格的にも当時はメロディーメーカーといえど、おいそれと衝動買いできる楽器ではないから、作る側も上級機種と遜色なく丁寧に手をかけているのがわかる。

VMネックエンドのすき間を隠すためにピックガードを延長して、そこにロゴを入れるなんて良く思いつきますよ、デザイナーは。

FVああ、この部分ね。ギターデザインとしては秀逸だと思うね。SGスペシャルのピックガードにもつながるデザインだ。

キャパシター、ノブ、ウェザークラック

VMポインターの角度をみても、ポットをみても、ちゃんと50年代で、ハンダもバージンなのにキャパシターはブラックビューティーになっています。これで合ってますか?

FVそうだね、ここはバンブルビーかな? と、思うけど。60年代前半なのかな、この個体は。ノブも、このスペックだと60年代前半ではなくて中期以降だから。

VMいまだに、よく理解してないんですよね、この「ゴールドリフレクター」のスペック。これが60年代初期と考えている人も多いと思うんですよ。

FVこの部分だろ? よく見ると、これは60年代初期かなあ…。

VMいつになく無責任な発言ですね(笑)

FV以前のノブ特集でカバーしきれなかったから、あらためて「リフレクターノブ特集」をやろうか。

VMぜひ、お願いしたいです。特にこのあたり。

FV50年代のメロディーメーカーは黄色い“のっぺり”サンバーストが印象的だけど、近くで見ると塗装も極薄で、ウェザークラックの入り方が60年代と全く異なる、すごく細かな格子模様だ。メロディーメーカーファンが、50年代を特別視しているのが理解できるね。本数もそんなに多くないけれど、手頃な価格で市場に出ていたら、一本手元に置いてみると良いよ。写真の印象とおり、まさに50年代だから。

VMさっそく探してみまーす(笑)

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憧れのメロディーメーカー - 50年代ヴィンテージ
メロディーメーカーは弾いてみると完成度の高さと取り回しの良さに驚きます。このシリーズでは50年代のシングルカッタウェイから、60年代後期のチェリー・ダブルカッタウェイまで、パーツやスペックを細かく見ながら、このギターの魅力を掘り下げていきたいと思います。

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