レスポール・デラックス - やみクロ“トンデモ発見伝” クローズアップな日曜日 with Takeさん (後編)

今回の「やみクロ」は前編に引き続きスパークル・レッドのレスポール・デラックス。テールピースやブリッジ、ボディ保護のプロテクタープレートなど、パーツの細部にクローズアップします。記事の最後に、バックプレートについての「発見」もご紹介。

今回は、あまり注視することのない、70年代パーツのクローズアップ写真をお楽しみください。

「スパークルレッド」と奇跡の再会

FV (Fukazawa Vintage Club)ストラトからフライングV、SG、そしてレアカラーのLPまで。Takeさんも、相変わらず守備範囲が広いね。

TAKEこの「スパークルレッド」は、再会の奇跡みたいな出来事があって手元にやってきたんすよ。

FV買い逃したら、後日全然違うお店で見つけて「買いました」っていう感じ?

TAKEなんで先に言っちゃうの? その通りだけど。最初は新大久保だっけかな、中古楽器屋に結構ゾンザイに「リペアあり。お買い得」っぽく展示されていた。で、「あ~、ヘッド折れかあ」って躊躇して、その時は決断できなくって。

FV思いなおして翌日、お店に行ったら、もうなかった?

TAKEまあ、翌日じゃあないんだけど。買いそびれたら、脳裏に焼き付いて忘れられなくなってね。カラーも特殊でしょ? でも、次にお店にいったら、店頭からいなくなってて。

FV買わずに後悔するのって、後を引くよ。

TAKEボリュートのベタ・リフィニッシュがね、最後まで気になって。

FV「ブルースパークル」のDeluxeをコレクションしておられる方は何人か存じ上げていますが、レッドはめずらしいね。

TAKEこの時期のDeluxeは、ミニハムにしか出ないファットなウーマントーンが特徴で大好きだし、マホガニーネックだったから。新宿で再会したのが奇跡だね。即決で買いました(笑)

FVその「ミニハム」だけど、ステッカードと刻印で音の印象は異なります?

TAKEそんなに何台も弾いている訳ではないから、ひとことでは言えない。まあ、マーシャルにはフィットするよね、概ねどの年代でも。

パーツにクローズアップ

FVパーツを見ていきましょうか。

TAKEアルミのクロームメッキ・テールピースって、やっぱりレア?

FV復刻やレプリカでも出ていないので、レア中のレアだと思う。失くすと苦労するね。

FV裏のライナーマークがチェックポイントで、50年代~60年代初期のバージョンとまったく違う、左右全体に長く伸びたのが特徴。

TAKE以前Vintage Maniacsでも特集してたよね。あれは参考になった。

ヴィンテージ・アルミテールピースの特徴 - 剥がれるメッキとライナー跡

FVサンキュー。この「塗装保護のためのプロテクタープレート」は、モノによってはPUの周辺にも取り付けられている個体があるよ。

TAKEこれ、好きなんだよなあ。なんか「適当に、割れやすい部分を隠しました」ってアメリカンな造作が。もっとクローズアップしておいてよ。

FVこんな感じでどう?

FVそういえば、SG StandardやDeluxeにも、これが付いている個体があったけど、メタリック系専用のプロテクションじゃあないみたいですね。

TAKEえ~、そうなの? ゴールドトップに付いているのぐらいしか見かけないから。

70年代の迷走 - SGスタンダード

TAKEABR-1は、多分DJマーク入りだと思う。

FVピンポーン。この頃は、クロームのDJマーク入りですねえ。あ、1弦のサドル、交換したの?

TAKEばれちゃったかあ。掃除してたらポロって落ちて、失くしちゃ駄目だから、ちゃんと取っておいたら、どこにしまったかわからなくなっちゃって(苦笑)

FV直したほうがいいよ。気になるよ。

TAKEこの頃は、ピックガードとかバックプレートが成型でしょ? スイッチプレートも。だから、こんな「ポチっ」としたマーキングが入ってるんだよね。

FVそう。ただ、このギターはトグルスイッチのバックプレートが削り出しだから、まあ、過渡期だね。

FVスイッチプレートは「R」が垂れているけど成型でした。パっと見、削り出しっぽいエッジだけど。

TAKEねえ、他に交換されてるパーツないかな? 心配になってきた。

FV気にしなくっていいんじゃない? このコンディションで気に入って買ったんだから。前のオーナーが理由あって交換したパーツって、それなりに経緯(いきさつ)とか、あるんだろうし。

TAKEとはいえ…気になる。

FVノブが1個、交換されてます。

TAKEひえ~~、聞かなければよかった(笑)

FVほら。

FVこれ1個だけ、60年代。

TAKEどひ~~、知らなければよかった(爆笑) ローレットが浅いのが1個だけ混じってるのかあ。

FVバックプレートのネジは全部Gibson製じゃないね。スカスカで空回りしている。ほら、ギブソンの70年代に交換したら、ちゃんとネジが回るでしょ? このままで良い?

TAKEほんとだ、嬉しい。ロッドカバーは大丈夫?

FVホワイトのレイヤーが厚い、70年代初期タイプ。これ、かっこいいよねえ。

TAKE僕も大好き。見た感じのシマリが良い。せっかくの「やみクロ」だから、もっとクローズアップしてよ。

FVスパークルの経年クラックとか?

TAKEうまく撮るよね、角度とか。

FV職業でしたんで…(笑)

Standardよりも高額なPro Deluxe

TAKEたしか、この後Deluxeもメイプルネックになるんだよね?

FV1978年のカタログを見てみると、「メイプル」に移行している。

FVソリッドボディのレスポール・モデル以外は、すべて「メイプル」だね。

TAKEあれ、この「Pro Deluxe」って、なんすか?

FVよく気がつきました。スタンダードより40ドルも高額なDeluxeがあったんだな。しかも、このカタログのスタンダードはフレイムトップだから凄い。

TAKEギブソンも、楽器店泣かせのカタログを作ってますね。だって、この頃のフレイムトップのスタンダードだと、K.M.モデルとか、Limitedでしょ?

FVマニーズとか、いろんな楽器店オーダーのスタンダードが登場した時代だから、営業部長から「Smith君! 最近、東海岸のギターショップから、“スタンダードは作ってないのか?”って、問い合わせが多いだろ? なんかそれっぽい写真をカタログに載せておいて、人気があるようだったら、それからとりあえず作るってのはどうだ?」みたいな大雑把なアプローチで(笑)

TAKE70年代後期のスタンダードとか、煮詰めると面白そうっすよ。重いの多いけど。

FV最後に、今回の撮影で一番クールなショットをご覧いただきますね。

TAKEうわ~、わかるわあ。この角度!

FVあ、そうだ。今回の表題でもある、「トンデモ発見伝」をご紹介し忘れそうだった。これ。

TAKEバックプレートがどうかしたの?

FV3本のネジの位置が全然違ってて適当だよね。治具使ってないんだ。びっくり。普通、位置決めするでしょ?(笑)

この時代独特のポジションマーカー
ねっとりしたスパークルの粒子

 次に読むなら

やみクロ - レスポール・デラックス (前編)
やみクロ(やみくもクローズアップ)の第3弾は、良質なマホガニーネックとタイトなパンケーキボディが人気のレスポール・デラックス。シンプルながらも工夫されたミニハム固定用のベースプレートと、個体差の大きいアルミテールピースを見ていきます。

掲載されている文章および画像の無断転載・引用(ソーシャルボタンは除く)は固くお断わりいたします。

 Vintage Maniacs Shopのおすすめアイテム

Vintage Maniacs Magazine Vol. 1

Vintage Maniacsのブログに著者コメントを追記し、編集・再構成した「Vintage Maniacs Magazine」。全ページフルカラー仕様で、資料としてもオススメです。Vintage Maniacsが切り込むディープでマニアックなヴィンテージギターの世界をお楽しみください。

ショップで見る
Vintage Maniacs 公式Webショップ