ギブソンSGカスタム - 複雑なパーツの集合体になっているモデル

パーツリストとギターを比較しながら見ていくと、ギターによっては複雑なパーツの集合体になっているモデルが結構あります。シリーズ後編となる今回は、SGカスタムを構成するパーツを細かく見ていきましょう。

Gibsonのパーツリストをチェック

パーツリストが手元にあるので、番号を合わせながら見てみます。

まず、ノブです。

パーツリストの「C」にあたるソンブレロ・ノブは、正式名称が「Tone knobs, opaque」とあります。このギターのノブはメタルプレート部分がゴールドなので、パーツナンバーは、Volumeが「19230」、Toneが「19229」です。

トグルスイッチは「F」と「N」で、Switch nut Goldが「15411」、Switch washer Blackが「19326」となっています。

「F」をWasherと呼びたくなりますが、「N」のトグルスイッチ・プレートが「Washer」です。覚えておきましょう（笑）　eBayでは「N」のパーツを「ポーカーチップ」って粋な呼び方している人もいますよ。

ロングヴァイブローラを構成する部品は12点

ゴールドのヴァイブローラユニットは、SG Customを特徴づける象徴的なパーツで、燦然と君臨しています。

ゴールドのABR-1との組み合わせは、レスポールには見られないバブリー且つゴージャスなアピールポイントです。

パーツリストには「81-501 Gold (Vibrato assembly, complete)」とあります。

「(Old GV75)」の記載は、このパーツが途中で部品番号が変更されたことを意味しています。バラでもパーツを購入できたようで、弦をひっかける部分はString barで「11442」、カバーはEngraved coverで「11446」です。

これだけ見ても、当時のアフターパーツを管理する部門が、コンピューター無しでこれだけの部番と在庫をコントロールできていたことは、カラマズー工場の従業員の皆さんの質の高さがうかがえますね。

驚くのはまだ早くて、このロングヴァイブローラ・ユニットは、個別にA～Lまで12個のパーツによって成り立っています。

失くすとなかなか買えない幻のスクリュー（Vintage Maniacs Shopで復刻品を取り扱っています）にもゴールドとクロームの2種類があるなんて…。

ほんと、リペア泣かせのヴァイブローラユニットですね（笑）

パーツから感じる70年代のアメリカのギターショップの風景

コントロールキャビティの内側は、3PUのわりにすっきりしてます。

キャビティカバーはスタンダードも共通なので、一種類だけ掲載されていました。Back control plateで「19300」です。

次はゴールドのピックアップです。パーツリストでは、ピックアップはエスカッションとセットで販売されているので、同じピックアップでもフロントとリアが分かれています。

ただし、SG Customのピックアップはエスカッションが不要ですから、FVのようにピックガードに搭載された状態で供給されたのかもしれません。機会をみてパーツリストで調べておきますね。

ペグは通常のKlusonではなく、ワッフルバックとよばれる高級タイプのVX-501です。現在ではKluson社から復刻版が出ていますが、以前は壊れると代替の入手が困難なパーツのひとつでした。

ピックガードはBWBWの4プライで、すこしクリーム色なのが特徴です。

余談ですが、カラマズーのデッドストックパーツにホワイトのピックガードがありました。まだネジ穴のスラント加工もされていないのでプロトタイプかもしれません。

パーツリストとギターを比較しながら見ていくと、ギターによっては複雑なパーツの集合体になっているモデルが結構あります。Les Paul Juniorのように、本体に搭載されているパーツの種類が10種にも届かないものもあれば、このSG Customのように、ひとつのパーツを構成する部品が10点以上あるギターもあります。これらを、お店の店員さんをはじめ、みんながGibsonのギター文化を応援しながら、カウンター越しにお客様と会話する。70年代ロックが流れる、当時のゆったりしたアメリカの楽器店の風景に思いを寄せるのでした。